耳の健康は日々の生活の質に大きく関わりますが、耳掃除に関しては多くの人が「どうすれば良いのか」「どこまで自分でやって良いのか」と悩んでいます。
特に「耳鼻科で耳掃除をお願いしたいけれど、なんて言えばいいの?」と迷う方も少なくありません。
この記事では、耳鼻咽喉科での耳掃除について、その必要性から受診の際の伝え方、費用、そして自己流の耳掃除がもたらすリスクまで、提供された情報に基づいて詳しく解説します。
耳の健康を守るための正しい知識を身につけ、安心して専門医に相談できるようになりましょう。
耳鼻科で耳掃除を頼む前に知っておきたいこと

耳鼻科で耳掃除はできる?どんな時に行くべき?
耳鼻咽喉科での耳掃除は、単なる日常的なケアではなく、専門的な知識と器具を用いて行われる「医療行為」として位置づけられています。そのため、多くの場合、健康保険診療の対象となります。
耳には本来、耳垢を自然に耳の外へと排出する「自浄作用」という優れた生理機能が備わっています。
しかし、この自浄作用がうまく機能しない場合や、不適切な自己流の耳掃除によって耳垢が奥に押し込まれることによって、耳垢が過剰に蓄積し、外耳道を完全にまたは部分的に塞いでしまう「耳垢栓塞(じこうせんそく)」という状態になることがあります。
耳垢栓塞は特別な疾患ではなく、誰にでも起こりうる一般的な耳のトラブルの一つです。
以下のような状況では、耳鼻咽喉科での専門的な耳掃除や診察が強く推奨されます。
- 耳の聞こえが悪くなっている場合や、耳が詰まったように感じる「耳閉感」がある場合。
- 耳鳴りがする場合や、自分の声が大きく響いて聞こえる「自声強聴」がある場合。
- 耳の奥の鼓膜を観察する必要がある場合(耳垢が邪魔をして鼓膜が見えないため、正確な診断のために耳垢の除去が必要になります)。
- プールや入浴後に急に聞こえが悪くなった場合(耳に水が入ることで耳垢が水分を吸収して膨張し、耳を塞いで急に聞こえが悪くなることがあります。特に、幼稚園や学校のプールの前には、耳鼻科で耳掃除をすることが推奨されます)。
- 自分で耳掃除をすると悪化する恐れがある場合(耳垢栓塞が疑われる場合、無理に自分で耳掃除をすると、耳垢をさらに奥に押し込んだり、外耳道を傷つけたりする危険があるため、耳鼻科での専門的な処置が不可欠です)。
- 耳垢が大きな塊となっている、または外耳道へ強く付着している場合(このような耳垢は家庭での除去が非常に困難です)。
- 耳の中のかゆみや詰まりが気になり、頻繁に耳掃除をしている方(これは外耳炎や外耳道湿疹のサインである可能性があり、自己流の耳掃除で症状を悪化させやすい状況です)。
- 高齢者の方(ご自身では気づかないうちに耳垢が溜まっていることが多く、80歳以上では50%以上の方が耳垢が原因で聞こえに悪影響が出ると言われています。加齢により耳の自浄作用が低下することも一因です)。
- 小さいお子さんの耳垢が気になる方(お子さんの耳は穴が小さく、家庭での耳掃除は耳の中を傷つけるリスクが非常に高いです。また、お子さんは耳の異常を言葉で訴えないことが多く、耳垢栓塞が難聴の原因になっていることに気づかないこともあります)。
- 補聴器を装用されている方(補聴器や耳栓の使用は、耳垢が溜まりやすい原因となるため、定期的なチェックと除去が推奨されます)。
- 耳掃除をした後に耳の痛みや出血、さらに聞こえにくさが悪化したと感じる場合(これは自己処理による外耳道の損傷や耳垢の奥詰まりが疑われるため、速やかな受診が必要です)。
- 長期にわたって耳垢を放置し、固くなって外耳道に固着している場合(このような耳垢は取りにくくなり、無理に取ろうとすると痛みを伴うことがあります)。
- 耳垢が充満していたために外耳道の皮膚が炎症を起こしているとき。
- 耳垢が溜まっているか分からないが、念のため確認して欲しい場合(症状がなくても、不安があれば受診する価値があります)。
「耳掃除だけ」でも耳鼻科を受診して大丈夫?
「耳掃除だけ」を目的として耳鼻咽喉科を受診しても全く問題ありません。耳鼻咽喉科での耳掃除は「立派な医療行為」であり、多くの人が自分で耳掃除をするのが怖い、つい強くやり過ぎてしまう、あるいは耳垢を奥に押し込んでしまうといった懸念を抱いています。
特に小さなお子さんの耳掃除は、家庭で無理に行う必要はありません。生後数ヶ月の赤ちゃんから、耳垢が溜まっているか分からないが念のため確認してほしいという場合でも、耳鼻咽喉科を受診して専門家による確認や除去を依頼することが可能です。
耳掃除が医療行為として明確に位置づけられ、さらに健康保険の対象となるという事実は、患者さんが専門的な医療機関を受診する際の心理的・経済的障壁を大幅に低減させます。
多くの人が耳掃除を軽微な、あるいは医療とは無関係な行為と捉えがちであるため、「耳鼻咽喉科で耳掃除を依頼しても良いのか」という疑問を抱くことがありますが、自身の耳の健康を優先し、安全かつ効果的なケアを躊躇なく求めることが可能です。
耳鼻科での耳掃除、費用はどれくらい?
耳鼻咽喉科での耳掃除は医療行為であるため、症状がある場合や医学的に必要と判断された場合は、基本的に健康保険診療の対象となります。
特に、新陳代謝が活発な方、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の方、耳垢が溜まりやすい体質の方、耳かきのやり過ぎによるかゆみや炎症の予防目的でも受診が可能です。また、虫や異物が耳に入った場合も保険適用で除去されます。
耳垢除去の費用と保険適用には、その処置の複雑さによって違いがあります。
- 簡単な耳垢除去: 耳垢が少量で容易に除去できる場合、その処置料は「第1章基本診療料」(診察料など)に含まれると解釈され、別途処置料を算定することはできません。
- 複雑な耳垢栓塞除去: これは、厚生労働省の通知により「耳垢水等を用いなければ除去できない耳垢栓塞を、完全に除去した場合に算定する」と定められています。つまり、耳垢が固着している、大量に溜まっているなど、特別な処置が必要な場合に適用される専門的な医療行為です。単に耳垢の場合、この「複雑なもの」としては原則として認められません。
耳掃除の費用と保険適用は、患者さんが訴える症状によって大きく左右されます。もし患者さんが耳の聞こえにくさ、耳の詰まり感、痛み、かゆみなどの症状を明確に伝えることができれば、それは耳垢栓塞などの医学的疾患と診断され、複雑な耳垢除去が必要な場合には保険診療の対象となります。
しかし、もし症状がなく、単に「耳をきれいにしたい」という理由で受診した場合、それは「検診」とみなされ、保険適用外の全額自己負担となる可能性があります。
具体的な費用目安は以下の通りです。これはあくまで処置料のみの目安であり、初診料やその他の診察・検査費用は別途発生します。
項目 | 負担割合 | 片側 | 両側 | 備考 |
---|---|---|---|---|
耳垢栓塞除去(複雑) | 3割負担 | 約300円 | 約540円 | 処置料のみ |
耳垢栓塞除去(複雑) | 1割負担 | 約100円 | 約180円 | 処置料のみ |
乳児加算(6歳未満) | 全負担割合 | +550円 | +550円 | 処置料に加算 |
初診で症状があり、耳の診察や耳掃除、聴力検査など一連の検査を行う場合、3割負担で約8,000円が目安となるクリニックもあります。この金額は、診察から検査、処置までを含んだ総額の目安です。
耳の聞こえにくい、聞き返しが多い、耳鳴りがする、耳が痛いなどの症状がない(無症状の)方の耳掃除外来の受診は、「検診」に該当すると判断され、健康保険診療の対象外となる場合があります。
この場合、費用は全額自己負担(実費負担)となります。ただし、症状や希望によっては、必要な検査を一部選択することで費用を抑えることも可能です。受診前にクリニックに確認することをお勧めします。
耳鼻科で耳掃除をお願いする際の伝え方と注意点
受付や診察時に何て言えばいい?伝え方の例文
耳鼻咽喉科を受診する際、受付や医師にどのように症状を伝えるかは、適切な診断と処置を受ける上で非常に重要です。
受付での伝え方: 「耳掃除をお願いしたいのですが」とシンプルに伝えるだけで問題ありません。耳掃除だけでも「立派な医療行為」であり、遠慮なく受診して良いとされています。「耳の中がカサカサする」「かゆい」「耳垢が溜まっているか確認してほしい」といった具体的な理由を伝えても良いでしょう。
医師への具体的な症状説明: 問診票では、受診のきっかけとなった症状(耳の痛み、耳だれ、聞こえにくい、耳鳴り、耳あか、詰まった感じなど)を具体的に記入します。複数の症状がある場合は、最も困っている症状に印をつけるなどして強調すると良いでしょう。
症状がいつから始まったのか、何かきっかけはあったのかを具体的に伝えます。
聞こえにくさを感じているか、耳鳴りは片方だけか、左右で聞こえに差があるかなど、医師からの質問に具体的に答える準備をしておくとスムーズです。
痛みの場合は、「ヒリヒリ」「ズキズキ」「刺されるような」「ズーンと」など、痛みの種類を具体的に表現すると診断に役立ちます。
また、どのような時に痛むのか(何もしていなくても痛む、ものを飲み込んだときに痛むなど)も伝えると良いでしょう。発熱、鼻水、咳、息苦しさ、胸の痛みなど、耳以外の症状があれば、それも医師に伝えます。
特に、耳垢が原因で難聴や耳閉感、耳鳴りなどの症状がある場合は、それを明確に伝えることが重要ですし、保険適用を受ける上でも重要です。
耳掃除をお願いするのは恥ずかしい?気にしなくて大丈夫
耳掃除をお願いすることを恥ずかしいと感じる必要は全くありません。耳鼻咽喉科での耳掃除は、医師が行う「医療行為」であり、患者さんが耳の健康を保つために受けるべき専門的なケアの一つです。
多くの人が自分で耳掃除をすることに不安を感じたり、耳垢がうまく取れないと感じたりしています。特に、小さなお子さんの耳掃除は、ご家庭で無理に行う必要はないとされています。
耳鼻咽喉科は、耳のトラブル全般に対応する専門機関です。耳垢の除去もその重要な業務の一つであり、患者さんが耳の健康を優先し、安全かつ効果的なケアを躊躇なく求めることを可能にします。
そのため、耳垢が気になる、聞こえにくい、耳が詰まった感じがするなど、どんな些細なことでも遠慮なく受診し、相談することが推奨されています。
耳鼻科での耳掃除、大人でも安心して受けられる?
はい、大人の方でも耳鼻咽喉科で安心して耳掃除を受けることができます。耳鼻咽喉科での耳掃除は、専門的な知識と器具を用いて行われます。
まず、医師は耳鏡や顕微鏡を使って耳の中を詳細に観察し、耳垢の状態、鼓膜、外耳道などの健康状態を確認します。この詳細な診察は、単に耳垢の有無を確認するだけでなく、他の耳の病気の早期発見にも繋がります。
耳垢が硬く固着している場合や量が多い場合は、耳垢を柔らかくする専用の薬液(耳垢水)が処方されることがあります。
患者さんは来院前に自宅で数回点耳して耳垢を柔らかくしておくよう指示されることもありますし、場合によっては、病院の待合室で点耳し、15分ほど横になってから処置を行うこともあります。
耳鼻咽喉科では、耳垢鉗子や吸引管、鋭匙(えいし)、輪匙(りんし)、小型の耳用鉤(こう)など、様々な専門器具を使って耳垢を取り除きます。これらの器具は、耳の構造や耳垢の性状に合わせて使い分けられます。
特に細かい耳掃除や、耳垢が固着しているなど難しいケースでは、手術用顕微鏡が使用され、耳の内部を拡大して見ながら、痛くないように丁寧に処置が行われます。吸引器は非常に柔らかい耳垢や小さな断片には有用ですが、大きい、硬い、または耳垢栓塞には有用ではない場合があります。
洗浄法も用いられ、体温かそれよりやや高い温度の滅菌水や生理食塩水を穏やかな水圧で注入し、耳垢を押し出す方法です。ただし、鼓膜に穿孔がある場合など、洗浄が禁忌となるケースもあります。
処置中は、患者さんが不意に動くことで耳を傷つけないよう、頭部を動かさないように指示されます。外耳道をまっすぐにするために、耳介を上後方(成人)または下後方(小児)に愛護的に牽引することがあります。
処置中に痛みが生じた場合は、すぐに中止し、耳の損傷の徴候がないか再診察が行われます。大量の耳垢が除去された場合、処置後に一時的なふらつきやめまいが起こることがあるため、処置室を出るまでスタッフが付き添うなどの配慮がなされることがあります。
これらの専門的な手順により、大人でも安全かつ効果的に耳掃除を受けることができます。
耳鼻科と専門サロン、耳掃除はどちらが良い?
耳掃除は耳鼻科に任せるべき理由:医療行為としての専門性
耳掃除は、耳鼻咽喉科の専門医に任せるべき医療行為です。耳の内部は非常にデリケートであり、外耳道は皮膚が薄く、外部からの刺激に弱いという特徴があります。耳鼻咽喉科で行われる耳掃除は、単なる日常的なケアや美容行為とは異なり、「立派な医療行為」として位置づけられています。
このため、多くの場合、健康保険診療の対象となり、患者さんは医療費の自己負担割合に応じた費用で専門的な処置を受けることができます。
耳鼻咽喉科の医師は、耳鏡や顕微鏡などの専門器具を用いて耳の奥の状態を詳細に観察し、耳垢の状態だけでなく、鼓膜や外耳道に異常がないかを確認することができます。
耳垢が硬く固着している場合や量が多い場合には、専用の薬液(耳垢水)を用いて耳垢を柔らかくする前処置を行うこともあります。
また、耳垢鉗子や吸引管、鋭匙など、耳の構造や耳垢の性状に合わせて様々な専門器具を使い分け、安全かつ丁寧に耳垢を除去します。特に難しいケースでは、手術用顕微鏡を使用して耳の内部を拡大しながら処置を行うこともあります。
このような専門的な知識と技術、そして適切な医療器具を用いた耳掃除は、耳の健康を守る上で不可欠です。耳鼻咽喉科での耳掃除は、耳のトラブルを未然に防ぎ、より質の高い耳のケアへのアクセスを促進します。
自分で耳掃除をするのは危険?耳鼻科に任せるべき理由
自分で耳掃除を行うことは、その方法や頻度によっては耳の健康に様々な悪影響を及ぼす可能性があります。多くの人が耳かきや綿棒を耳の奥まで深く入れすぎることがありますが、これは耳垢をさらに鼓膜の方向へ押し込んでしまうことにつながります。
耳垢は耳の入り口から約1cm〜1.5cm程度の浅い部分(外耳道の外側3分の1程度)でしか生成されないため、それより奥を掃除しようとすることは無意味であり、かえって逆効果となります。これにより、耳垢が外耳道を完全に塞いでしまう「耳垢栓塞」のリスクが高まります。
さらに、外耳道の皮膚は非常に薄くデリケートであり、外部からの刺激に弱いため、無理な力での耳掃除は皮膚を傷つけ、剥離させたり荒れさせたりする原因となります。このような傷から細菌が侵入すると、外耳道に炎症が起こる「外耳道炎」や「外耳道湿疹」を発症する可能性があります。
これらの炎症は、痛みやかゆみ、耳だれといった不快な症状を引き起こします。特に注意すべきは、不適切な自己流の耳掃除が引き起こす悪循環です。耳掃除によって耳の皮膚に微細な傷や炎症が生じると、痛みや赤み、そして特に強いかゆみを感じるようになります。
このかゆみは、さらに耳掃除をしなければならないという衝動を引き起こし、結果としてより頻繁に、あるいはより強く耳を掻いてしまうことにつながります。これにより、耳の皮膚へのダメージが蓄積され、炎症が慢性化し、症状がさらに悪化するという負の連鎖が生じます。
また、入浴後など耳垢が水分を含んで柔らかくなっている状態で綿棒などで耳掃除をすると、耳垢を奥に押し込みやすくなり、炎症や痒みの原因になりやすいとされています。自己流の耳掃除を強く続けていると、耳の奥の皮膚が厚くなり、本来感じるべき痛みに鈍感になってしまうことがあります。
この痛みの感覚の鈍化は、身体が発する重要な警告信号が機能しなくなることを意味し、無意識のうちにさらに強い力で耳かきをしてしまい、より深刻な損傷や病気へと悪循環に陥る危険性が高まります。耳かきなどで耳の中を誤って突いてしまい、鼓膜に穴が開く「外傷性鼓膜穿孔」の危険性も存在します。
特に、小さい子供が近くにいる時に耳掃除をするのは、子供が急に動くことで鼓膜を傷つけるリスクが非常に高いため、絶対に避けるべきです。稀に、鼓膜の奥にある耳小骨にまで損傷が及ぶこともあり、これは聴力に深刻な影響を与える可能性があります。
耳掃除によって外耳道にできた傷は、細菌感染を招きやすく、黄色ブドウ球菌などの細菌や、まれに真菌(カビ)が原因で外耳道真菌症を発症することがあります。また、耳垢栓塞を放置すると、耳の中が蒸れて細菌が繁殖しやすい環境となることもあります。
自分で耳掃除を行う場合は、以下の点に注意し、安全な範囲で行うことが重要です。耳掃除は基本的に毎日行う必要はなく、多くても月に1〜2回程度で十分です。頻繁な掃除は耳を傷つけるリスクを高めます。
耳垢が溜まるのは耳の入り口から1cm〜1.5cm程度の浅い場所であるため、掃除をするのはこの範囲に留めるべきです。綿棒の頭一つ分を目安に優しく拭い取る程度が推奨されます。それより奥を耳掃除しても「全く意味がない」とされています。
硬い耳かきは避け、やさしく周囲に向かってかき出すイメージで行い、耳穴の壁をかいたり、ほじくり返したりしないように注意が必要です。明るい場所で、不意に手が当たったり動いたりしないよう、周囲に人がいない場所で行うことが推奨されます。
市販されている耳掃除用のオイルや水などを耳に入れることは、耳垢が水分やオイルを吸収して膨張し、耳の穴を塞いだり、皮膚を傷つけたりする可能性があるため避けるべきです。
これらのリスクを避けるためにも、耳掃除は耳鼻咽喉科の専門医に任せるべきです。
耳鼻科で耳掃除を受けた後の変化と効果
耳掃除で聞こえが良くなるって本当?
はい、耳垢栓塞が原因で聞こえが悪くなっていた場合、耳鼻咽喉科での耳掃除によって聞こえが改善することは十分にあり得ます。
耳垢が過剰に蓄積して外耳道を塞いでしまう耳垢栓塞は、音が聞こえにくくなる「難聴」や、耳が詰まったように感じる「耳閉感」の最も一般的な原因の一つです。外耳道が耳垢で塞がれると、音が鼓膜に届きにくくなるため、聴力が低下します。
耳垢栓塞による難聴は、特に高齢者において、認知症の危険因子の一つとされています。聴力の低下が認知機能の低下に繋がる可能性が指摘されており、実際にアメリカの高齢者向け施設で行われた調査では、耳垢栓塞を除去することで入所者の聴力が改善しただけでなく、認知機能も改善されたという報告があります。
この事実は、耳垢栓塞の除去が単に聴覚機能を回復させるだけでなく、認知機能の維持・向上にも寄与し、高齢者の全体的な健康と生活の質に深く関わる重要な介入であることを示しています。
したがって、耳垢栓塞への専門的な対応は、局所的な耳のトラブルに留まらず、より広範な全身の健康状態、特に認知機能の保護という観点からも極めて重要であると言えます。
耳鼻咽喉科で耳垢が除去されることで、音の伝達が正常に戻り、聞こえが改善されることが期待できます。
耳鼻科の耳掃除は「気持ちいい」って聞くけど本当?
耳掃除には、外耳道に刺激すると快感を与える神経があるため、心地よく感じることはあります。しかし、自分で耳掃除をする際に過度に行うと、耳に傷をつけてしまう場合があります。
耳鼻咽喉科での耳掃除は、専門医が耳の内部を詳細に観察しながら、適切な器具を用いて丁寧に行うため、安全かつ効果的に耳垢が除去されます。
特に、耳垢が固着している場合や量が多い場合には、事前に耳垢を柔らかくする薬液(耳垢水)を使用することもあります。
また、手術用顕微鏡を使用して耳の内部を拡大して見ながら処置が行われるため、痛みを感じさせないように細心の注意が払われます。
これにより、患者さんは安心して耳掃除を受けることができ、耳垢が除去された後のすっきりとした感覚や、聞こえの改善を実感できるため、結果として「気持ちいい」と感じる方も多いでしょう。
しかし、その心地よさが、自己流の過度な耳掃除に繋がらないよう注意が必要です。
参考情報
免責事項
本記事に記載されている情報は、一般的な知識の提供を目的としたものであり、医学的な診断や治療の代替となるものではありません。耳の症状や健康に関するご心配がある場合は、必ず専門の医療機関を受診し、医師の指示に従ってください。
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