なぜ?鳥が電線に止まっても感電しない理由をスッキリ解説!

なぜ?鳥が電線に止まっても感電しない理由

ふと空を見上げると、電線にスズメたちがずらりと並んで、おしゃべりでもしているような光景に出会うことがありますよね。

なんだかほっこりする、私たちにとってはおなじみの風景です。

しかし、その一方で、こんな風に思ったことはありませんか?

あの電線には強い電気が流れているはずなのに、どうして鳥たちは平気なんだろう?」と。

電気はとても危険なものだと知っているからこそ、この素朴な疑問が頭に浮かびます。

この記事では、そんな長年の「なぜ?」に、科学の視点からスッキリお答えしていきます。

鳥が電線に止まる理由」から、実は「感電してしまう悲しい事故」まで、このテーマをあらゆる角度から、どこよりも分かりやすく掘り下げていきます。

この記事を読み終わる頃には、あなたも電線と鳥の関係について、誰かに話したくなるはずですよ。

そもそも、鳥はどうして電線に止まるのが好きなの?

鳥はどうして電線に止まるのが好きなの?

鳥が感電しない理由を探る前に、まずは「なぜ鳥たちは木の枝があるのに、わざわざ人工物の電線に止まるのか」という理由から見ていきましょう。

鳥たちの行動には、生き抜くためのちゃんとした理由があるのです。

天敵や獲物を見つけやすい「見晴らし台」だから

電線に止まる一番の理由は、その見晴らしの良さにあります。

電線の上は、周りに邪魔なものが何もない、とても開けた場所ですよね。

このおかげで、空から自分たちを狙うタカやワシといった天敵が近づいてくるのを、いち早く見つけることができるのです。

それだけではありません。

地上にいる虫や木の実といった、自分たちのごはんを見つける上でも、この見晴らしの良さはとても役立ちます。

つまり、電線は鳥たちにとって、自分の身を守りながら、効率よくごはんを探せる、最高の監視ポイントというわけなのです。

ちょうど良い「休憩スポット」だから

空を飛ぶという行動は、鳥たちにとって、とてもエネルギーを使います。

そのため、途中で休憩できる場所は欠かせません。

電線は、木の枝と違って太さがだいたい同じで、鳥たちが掴みやすい形をしています。

安定して体を休めることができる、快適な止まり木として活躍しているのです。

自然の木が少ない街の中では、電線は鳥たちにとって、なくてはならない貴重な休憩スペースになっています。

鳥が電線で感電しない「本当の理由」は電気のルールにあった

鳥が電線で感電しない「本当の理由」は電気のルール

さて、いよいよ本題に入りましょう。

高圧の電気が流れている電線に直接触れているのに、どうして鳥たちは平気なのでしょうか。

その答えは、鳥の体に特別な秘密があるから、というわけではありません。

電気そのものが持っている、基本的なルールの中に隠されているのです。

感電の謎を解くカギは、「電気回路」と「電位差」という二つの言葉にあります。

水道のお水が流れる様子をイメージすると、とても分かりやすいですよ。

カギは「電気の通り道」ができないこと

まず、電気が流れるためには、スタートからゴールまで続く、閉じた道筋が必要です。

この道筋のことを「電気回路」と呼びます。

道が途中で途切れていては、電気は流れることができません。

鳥が一本の電線の上に両足でちょこんと止まっている時、体を通って電気が流れるための「電気回路」が完成しないのです。

電気が鳥の体を避けて通るから

電気には「流れやすい道を選ぶ」という面白い性質があります。

もし目の前に、広くてスムーズな道と、狭くて通りにくい道があったら、迷わずスムーズな道を選びますよね。

電気も同じで、抵抗が小さい(流れやすい)道を優先して進むのです。

鳥の体と電線そのものを比べると、電線の方が圧倒的に電気にとって流れやすい道です。

そのため、電線を流れてきた電気のほとんどは、わざわざ抵抗の大きい鳥の体を迂回したりはしません。

そのまま抵抗の小さい電線本体を、すいーっと流れ続けていきます。

鳥の体にもごくわずかな電気は流れますが、ピリッとも感じないほど小さな量なので、感電することはないのです。

都市伝説?「鳥の足は電気を通さない」は本当?

「鳥の足は電気を通さない」は本当?

鳥の足のウロコは、電気を通さない特別製だから感電しないんだよ」という話を聞いたことはありませんか?

なんだかそれっぽく聞こえますが、これは感電しない一番の理由ではありません。

鳥の足が、完全に電気をシャットアウトするわけではないのです。

大切なのは、これまで説明してきた通り、「鳥の体を通る電気回路ができないこと」。

そして、「鳥の両足の間に、危険なほどの電圧がかかっていないこと」です。

つまり、「鳥の足だから安全」なのではなくて、「一本の電線の上、という状況だから安全」と理解するのが正解なのですね。

しかし、鳥も感電する!安全な場所がワナに変わる時

鳥も感電する!

ここまで、鳥が電線で安全な理由をお話ししてきました。

ですが、残念ながら、これはいつも当てはまるわけではありません。

ある条件がそろうと、安全な止まり木であるはずの電線が、一瞬で鳥の命を奪うワナに変わってしまうことがあります。

実際に「鳥が電線で感電した」という悲しい事故は、決して珍しいことではないのです。

翼が引き起こす悲劇…2本の電線に同時にタッチ

その典型的な例が、鳥が「電気の流れる2つのもの」に同時に触れてしまった場合です。

例えば、コウノトリやワシのように、翼を広げると1メートル以上にもなる大きな鳥がいます。

大きな鳥が、羽ばたいた瞬間や、電線に着地しようとした瞬間に、誤って「2本の異なる電線」に翼で触れてしまうことがあるのです。

この時、鳥の体は2本の電線の間をつなぐ「橋」になってしまいます。

2本の電線の間にはとても大きな電圧がかかっているため、体を通して電気がショートし、大電流が流れて感電してしまうのです。

地面への近道ができてしまう時

もう一つの危険なケースは、鳥が地面への電気の近道を作ってしまう場合です。

電線に止まりながら、同時に「地面とつながっているもの」に触れてしまった時も、とても危険です。

例えば、電線を支えている金属製の電柱や、電柱を斜めに支えているワイヤーなどがそれにあたります。

高圧の電線と、地面につながっているものに同時に触れると、鳥の体は「電線から地面へ」と電気が流れるための完璧な通り道になってしまいます。

これにより、やはり致命的な電流が体を駆け巡ることになるのです。

こうした事故を防ぐため、電力会社は電線にカバーを取り付けるなど、鳥たちの命を守るための様々な工夫をしています。

なぜ人間は危険なの?鳥との決定的な違い

なぜ人間は危険なの?鳥との決定的な違い

鳥は大丈夫なのに、どうして人間は電線に触ると危ないの?」という疑問も、当然ありますよね。

その答えは、私たちが普段どこにいるか、というとてもシンプルな違いにあります。

人間は、鳥のように空を飛んで、電線一本にだけ触れる、ということはできません。

私たちは常に「地面」に立っています。

この地面に立っているという事実が、鳥との決定的な違いを生むのです。

もし人間が電気の流れる電線に触れてしまうと、その瞬間に「電線 → 人間の体 → 地面」という、完璧な電気回路が完成してしまいます。

私たちの体は、電気の通り道になってしまい、とても危険な状態になるのです。

鳥が安全そうにしているからといって、電線の危険性を軽く考えてはいけません。

切れて垂れ下がった電線などには、絶対に近づかないようにしましょう。

まとめ:日常の風景から学ぶ、電気のホントのところ

どうして鳥は電線に止まっても感電しないの?」という素朴な疑問の答えは、いかがでしたか?

それは、鳥が何か特別な力を持っているからではありません。

電気の基本的なルールの中に、その答えはありました。

一本の電線の上では、鳥の体を通る「電気回路」が完成しないこと。

そして、電気がわざわざ鳥の体を選んで通らないこと。

これが、鳥たちが電線の上で安全でいられる科学的な理由だったのですね。

ですが、その安全は絶対的なものではありません。

ある条件がそろうと、感電という悲しい事故が起きてしまうことも学びました。

このことは、逆に言えば、電気の通り道ができた時の恐ろしさを私たちに教えてくれます。

日常の中で当たり前のように見ている、電線に止まる鳥の姿。

その背景にある科学的な理由を知ることで、私たちは電気というエネルギーと、より安全に付き合っていくことができます。

次に電線に鳥が止まっているのを見かけたら、ぜひこのお話を思い出してみてくださいね。

【免責事項】
本記事に掲載されている内容は、一般的な情報提供を目的としています。
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ご家庭での電気に関する問題や工事については、必ず資格を持った専門の業者にご相談ください。
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【参考情報】
この記事で解説した内容について、さらに詳しく知りたい方は、以下のウェブサイトも参考にしてみてください。

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