お盆 やってはいけない事|ご先祖様を敬うためのNG行動を解説

お盆-やってはいけない事|ご先祖様を敬うためのNG行動リスト

「お盆に海へ行くと、霊に足を引かれるよ」

子供の頃、そんな風に言われた経験はありませんか?

お盆の時期に昔から伝わる「やってはいけない事」。それらは単なる迷信ではなく、ご先祖様への敬意や、私たちを現実の危険から守るための先人たちの深い知恵が隠されています。

この記事では、なぜそれらのタブーが存在するのか、その本当の意味から、現代における正しい過ごし方までを徹底解説。

ご先祖様もあなたも、心穏やかなお盆を過ごすためのヒントがここにあります。

目次

お盆にやってはいけない事リスト|ご先祖様のために知っておきたいタブー

お盆にやってはいけない事イメージ画像

お盆は、年に一度ご先祖様の霊を自宅にお迎えし、感謝の気持ちを伝えて供養するための大切な期間です。この神聖な時期を穏やかに過ごすため、古くから伝えられてきた「やってはいけない事」、すなわちタブーが存在します。

これらは単なる迷信ではなく、ご先祖様への敬意や仏教の教え、そして現実的な危険を回避するための知恵に基づいています。

まずは結論として、お盆の期間中に避けるべき代表的な行動の概要を見ていきましょう。

殺生につながる行動(釣り、虫取りなど)は避けるべき?

お盆の期間中は、釣りや狩猟、虫取りといった、生き物の命を奪う「殺生(せっしょう)」にあたる行為は避けるべきとされています。これは、ご先祖様を供養する神聖な期間に命を奪うことは、仏様やご先祖様に対して大変無礼であるという仏教の教えに基づいています。

地域によっては、ご先祖様の霊がトンボなどの生き物の姿を借りて帰ってくるとも信じられており、むやみに生き物を捕まえることは特に慎むべきだと考えられています。

水辺(海・川・湖)へ遊びに行くのはなぜNG?

お盆に海や川、湖といった水辺で遊ぶことを禁じるのは、最も広く知られているタブーの一つです。これには二つの理由が隠されています。

一つは霊的な言い伝えです。水辺は古来、この世とあの世をつなぐ境界と見なされており、お盆の時期には多くの霊が行き来すると考えられています。そのため、供養されない霊が、寂しさから生きている人を水中に引きずり込んでしまうという伝承があるのです。

もう一つは現実的な危険です。お盆の時期は台風や急な天候の変化が多く、水難事故が起こりやすい季節です。また、毒を持つクラゲが発生する時期とも重なります。「霊に足を引かれる」という警告は、こうした水辺の危険から人々を守るための、記憶に残りやすい安全教育の役割も果たしてきたのです。

お祝い事(結婚式・入籍・納車)は延期した方が良い?

結婚式や入籍、新車の購入・納車といったお祝い事(慶事)は、お盆の期間中には控えるのが一般的です。なぜなら、お盆は亡くなった方を静かに偲び、供養するための「弔事(ちょうじ)」の期間だからです。

そのような厳粛な時期に、個人的で華やかなお祝い事を行うことは、ご先祖様をお迎えする場の雰囲気とは相容れず、不謹慎で敬意を欠く行為と見なされることがあります。どうしても日程をずらせない場合は、双方の家族とよく相談することが大切です.

お盆期間中の引っ越しや大きな契約は問題ない?

引っ越しや新築祝い、大きな契約なども、お祝い事と同様にお盆の期間中は避けるべきとされています。特に引っ越しは、慣れ親しんだ家にご先祖様の霊が帰ってくるのに、家が変わっていると迷子になってしまう、という考え方から強く避けられます。

また、お盆の時期が「土用」と重なる地域もあり、土を動かす行為である引っ越しは良くないとされる言い伝えもあります。縁起を担ぐ意味でも、重要な契約や大きな買い物は、時期をずらすのが無難と考えられています。

針仕事(裁縫)をしてはいけないと言われる理由

お盆の期間中に裁縫などの針仕事を避けるべき、というタブーも存在します。その理由は、針で指を刺して怪我をし、血を流してしまうリスクを避けるためです。仏教や神道の考え方では、血は「穢れ(けがれ)」、つまり儀式的な不浄の源と見なされます。

ご先祖様が滞在している神聖な空間に穢れを持ち込むことは、ご先祖様に対して大変失礼にあたると考えられているのです。このため、怪我につながる可能性のある鋭利な道具の扱いは、慎むべきだとされています。

仏壇やお墓に供えてはいけないNGなお供え物とは?

ご先祖様へのお供え物にも、避けるべきものがあります。代表的なものは、肉や魚といった生ものです。これらは殺生を連想させること、そして夏の暑い時期に傷みやすいことから、古くから避けられてきました。

また、花をお供えする際にも注意が必要です。バラやアザミのようなトゲのある花は、針仕事と同様に怪我や殺生を連想させるため、ふさわしくないとされます。

他にも、毒のある花(彼岸花やスズランなど)や、首が落ちるように散る椿のような花も、縁起が悪いとして避けられる傾向にあります。

お墓参りでやってはいけない作法やマナー違反

お墓参りにも、知らずにやってしまいがちなマナー違反があります。例えば、お線香やロウソクの火を、口で息を吹きかけて消す行為です。人間の口から出る息は不浄なものとされ、仏様やご先祖様にかけるのは失礼にあたるため、手で扇いで消すのが正しい作法です。

また、お供えした食べ物や飲み物をそのままにして帰るのもマナー違反です。カラスや他の動物に荒らされてお墓が汚れる原因になるため、お参りが終わったら必ず持ち帰るようにしましょう。

【理由を解説】なぜダメなの?お盆のタブーに隠された意味と背景

お盆のイメージ画像

お盆のタブーは、ただ「やってはいけない」と禁止するだけのものではありません。その一つひとつには、ご先祖様を敬い、命の尊さを考え、私たち自身が安全に暮らすための深い意味と背景が込められています。

ここでは、それぞれのタブーがなぜ存在するのか、その理由をさらに詳しく解説します。

お盆はご先祖様の霊が帰ってくる神聖な期間だから

お盆に関するすべての慣習やタブーの根底には、「お盆はご先祖様の霊がこの世に帰ってくる特別な期間である」という共通認識があります。13日の夕方に焚く「迎え火」は、ご先祖様が迷わず家に帰ってこられるように灯す目印であり、16日に焚く「送り火」は、霊が再びあの世へ無事に帰れるように道を照らすためのものです。

このように、ご先祖様を大切な客人のようにお迎えし、共に過ごすのがお盆です。そのため、その滞在期間中は、霊が穏やかに過ごせるように、そして失礼のないようにもてなすために、騒がしい行為や不浄とされることを避けるべきだと考えられているのです。

「殺生」を禁じる仏教の教えが根底にある

お盆に釣りや虫取りなどの殺生を禁じるのは、仏教の根本的な教えである「不殺生戒(ふせっしょうかい)」に直接由来しています。

仏教では、すべての生き物の命は等しく尊いものであり、故なく命を奪うことは重い罪とされます。ご先祖様への感謝と供養を行うこの神聖な時期に、他の生き物の命を奪う行為は、その教えに大きく反する矛盾した行いです。

この考えに基づき、かつてはお盆の期間中、肉や魚を食べない「精進料理」をいただく習慣が根付いていました。命の尊さに思いを馳せ、感謝することが、何よりの先祖供養になると考えられているのです。

水辺は「この世」と「あの世」が繋がりやすい場所という言い伝え

水辺が危険とされる背景には、日本古来の自然観や死生観が深く関わっています。川や海、湖といった場所は、異なる世界をつなぐ「境界」や「通り道」と見なされてきました。

仏教で言われる三途の川のように、水辺はあの世とこの世が交わる場所だと考えられていたのです。普段は閉ざされているその境界が、お盆の時期には開かれ、多くの霊が行き来すると信じられていました。

その中には、供養されずにさまよっている無縁仏なども含まれており、そうした霊が寂しさから生きている人間を自分たちの世界へ引き込もうとする、という少し怖い言い伝えが生まれました。これは、水難事故の多い時期に人々を水辺から遠ざけるための、効果的な教えでもあったのです。

タブーを破るとどうなる?先祖供養にまつわる不思議な話

では、もしお盆のタブーを破ってしまったら、何か悪いことが起こるのでしょうか。古くからの言い伝えの中には、「お盆に水遊びをしていて、何者かに足を引っ張られるような感覚を覚えた」とか、「お祝い事を強行したら、その後に良くないことが続いた」といった、不思議な話が各地に残されています。

もちろん、これらは科学的に証明できるものではなく、偶然や心理的なものが影響している可能性も高いでしょう。大切なのは、タブーを破ったから罰が当たる、と恐れることではありません。

これらの話は、ご先祖様への敬意を忘れず、慎み深く過ごすことの大切さを伝えるための、戒めとして語り継がれてきたと解釈するべきです。先祖供養の本質は、感謝の気持ちを伝えることにあるのです。

【行動別】お盆期間中の具体的な注意点と過ごし方

迎え火を玄関で灯しているイメージ画像

ここまで、お盆にやってはいけないことの代表例とその背景を解説してきました。

ここではさらに踏み込んで、具体的な場面ごとの注意点や、現代における過ごし方のヒントをご紹介します。

行ってはいけない場所は具体的にどこ?(心霊スポット・病院など)

水辺以外にも、お盆の期間中は避けた方が良いとされる場所があります。例えば、いわゆる心霊スポットや肝試しです。水辺と同様に、あの世との境界が曖昧になるこの時期に、面白半分で霊的な場所へ近づくのは、良からぬものを招き寄せる可能性があるため、非常に危険な行為とされています。

また、お見舞いなどで病院へ行くことも、可能であれば避けた方が良いという考え方もあります。これは、病気や死といった「穢れ」に触れることを避けるという意味合いや、多くの魂が集まる場所へ赴くのは慎むべきだという考え方に基づいています。もちろん、緊急の場合はこの限りではありません。

控えるべき食べ物はある?精進料理を食べた方がいい?

かつては、仏教の不殺生の教えから、お盆の期間中は肉や魚、卵などを断つ「精進料理」を食べるのが一般的でした。しかし現代では、その慣習は薄れつつあり、非常に伝統を重んじる家庭や地域を除いて、お盆に肉や魚を食べることが厳しく禁じられているわけではありません。

大切なのは、食事制限そのものよりも、命の尊さを意識し、食事に感謝する心です。食べ物を無駄に残したり、必要以上に食べたりする行為は避け、いただいた命に感謝しながら食事をすることが現代的な供養の形と言えるでしょう。

仕事や旅行、レジャーは普段通りで大丈夫?

お盆の時期は多くの企業が夏休みとなり、旅行やレジャーに出かける人も少なくありません。本来、お盆はご先祖様を供養し、静かに過ごす期間であるため、派手な遊びや旅行は控えるべき、という考え方もあります。

しかし、現代社会において、お盆の捉え方が「聖なる儀式」から「長期の夏休み」へと変化しているのも事実です。仕事や避けられない用事があるのは当然ですし、家族で過ごす時間を大切にするための旅行が、一概に悪いとは言えません。

重要なのは、どこにいても、何をしていても、心の中にご先祖様への感謝の気持ちを持ち続けることです。旅行先から故郷の方向へ向かって静かに手を合わせるだけでも、立派な供養になります。

ロウソクの火を口で吹き消すのはなぜマナー違反?

お墓参りや仏壇で灯したロウソクの火を、ふっと息で吹き消すのはマナー違反とされています。これには明確な理由があります。

仏教において、人間の口から出る息は、嘘や悪口などを発することもあるため「不浄」なものと考えられています。その不浄な息を、仏様やご先祖様、そして清浄な灯りであるロウソクの火に吹きかけることは、大変失礼な行為にあたるのです。

ロウソクの火を消す際は、手で軽く扇ぐか、専用の火消しを使うのが正しい作法です。小さな所作ですが、ご先祖様への敬意を示す大切なマナーとして覚えておきましょう。

お盆に「やってはいけない事」と合わせて知りたい「やるべき事」

お盆の期間は、タブーを意識して慎むだけでなく、ご先祖様のために積極的にやるべきこともたくさんあります。故人を偲び、感謝を伝えるための行動を知ることで、より心豊かなお盆を過ごすことができるでしょう。

お盆はいつからいつまで?地域による違いも解説

お盆の期間は、地域によって異なります。主に3つの期間が存在します。

全国的に最も一般的なのは、8月13日から16日までの「旧盆(きゅうぼん)」または「月遅れ盆」です。

一方、東京都や神奈川県、静岡県の一部などでは、新暦の7月13日から16日に行う「新盆(しんぼん)」が主流です。

さらに、沖縄県や南西諸島の一部では、旧暦に基づいてお盆を行うため、2025年は8月27日から8月29日が「旧暦盆」となります。ご自身の家庭や地域の慣習に合わせて準備を進めましょう。

お盆にやるべきこと3つ(お墓参り・お供え・火の儀式)

お盆にやるべきことは様々ですが、特に大切なのは「お墓参りとお掃除」「お供え物の準備」「迎え火・送り火の儀式」の三つです。

まず、ご先祖様をお迎えする前に、お墓や仏壇をきれいに掃除します。これは、ご先祖様に気持ちよく過ごしてもらうための大切な準備です。

次に、故人が好きだった食べ物やお花などをお供えし、感謝の気持ちを表します。そして、お盆の始まりと終わりには、ご先祖様の霊を導くための迎え火と送り火を焚き、丁寧にお迎えし、お見送りします。

【初心者向け】迎え火・送り火の正しいやり方と準備物

迎え火と送り火は、自宅で簡単に行うことができます。

まず、お盆初日の夕方に、玄関先や庭で「焙烙(ほうろく)」という素焼きのお皿の上で、「おがら」と呼ばれる麻の茎を燃やして迎え火を焚きます。

火を焚くのが難しいマンションなどの場合は、盆提灯を灯すことが迎え火の代わりになります。送り火は、お盆最終日の夕方から夜にかけて、迎え火と同じ場所、同じ方法で行います。この火の煙に乗ってご先祖様が帰るとされているため、心を込めてお見送りしましょう。

ご先祖様が喜ぶお供え物の選び方と作法

お供え物は、ご先祖様へのもてなしの心を表すものです。基本的には、前述のNGなものを避け、故人が生前好きだったお菓子や果物などを用意すると喜ばれるでしょう。

また、きゅうりやなすに割り箸などで足をつけた「精霊馬(しょうりょううま)」も代表的なお供え物です。きゅうりの馬は、ご先祖様が少しでも早くこの世に帰ってこられるように、なすの牛は、お供え物をたくさん積んでゆっくりとあの世に戻れるように、という願いが込められています。

お供え物は仏壇やお墓に供え、お参りが終わったら家族でいただくのが良い供養になるとされています。

お盆にやってはいけない事に関するよくある質問(Q&A)

お盆にやってはいけない事に関するよくある質問イメージ画像

最後に、お盆のタブーや過ごし方に関して、多くの方が疑問に思う点についてQ&A形式でお答えします。

先祖供養をしないと、何か悪いことが起こりますか?

先祖供養をしなかったからといって、必ずしも罰が当たったり、悪いことが起きたりするわけではありません。ご先祖様は、子孫に祟るような怖い存在ではないと考えられています。供養の本質は、自分たちのルーツであるご先祖様に感謝し、その存在を忘れないでいることです。

忙しくて十分な供養ができない場合でも、心の中で「いつも見守ってくれてありがとう」と感謝を伝えるだけで、その気持ちはきっとご先祖様に届くはずです。

どうしてもお祝い事をしたい・参加したい場合はどうすればいい?

仕事の都合や相手との関係で、お盆の期間中のお祝い事をどうしても避けられない場合もあるでしょう。その際は、まずご両親や親族に相談し、理解を得ることが大切です。

参加する場合は、ご先祖様への供養を先に行っておく、心の中で「失礼します」と一言断りを入れるなどの配慮をすると良いでしょう。何よりも大切なのは、ご先祖様を敬う気持ちを忘れないことです。

宗派や地域によってタブーに違いはありますか?

はい、あります。例えば、仏教の宗派の一つである浄土真宗では、亡くなった人はすぐに阿弥陀仏の力によって極楽浄土で仏になると考えられているため、霊がこの世に帰ってくるという概念がありません。

そのため、迎え火や送り火、精霊馬などのお盆特有の儀式を行わないのが一般的です。また、長崎の「精霊流し」のように爆竹を鳴らして賑やかに霊を送る地域や、沖縄のように旧暦を厳守する地域など、お盆の形は全国で様々です。

もし、やってはいけない事をしてしまった時の対処法は?

もし、うっかりお盆のタブーを破ってしまったとしても、過度に心配する必要はありません。大切なのは、その後の対応です。

まずは、仏壇やお墓の前で手を合わせ、ご先祖様に対して「知らずに失礼なことをしてしまい、申し訳ありませんでした」と心から謝罪しましょう。

そして、改めて日頃の感謝の気持ちを伝えれば、ご先祖様もきっと許してくださるはずです。形式よりも、ご先祖様を思う誠実な心が最も重要です。

参考情報

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免責事項
本記事に掲載されている情報は、一般的な言い伝えや慣習、宗教的解釈に基づくものであり、その効果や影響を保証するものではありません。お盆の過ごし方や儀式は、地域、宗派、各ご家庭の考え方によって大きく異なります。具体的な行動については、ご自身の所属する寺院やご親族にご相談いただくことをお勧めします。

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