中国、クレしん・はたらく細胞公開延期の理由は対日報復か?高市発言が影響

中国、クレしん・はたらく細胞公開延期の理由は対日報復か?高市発言が影響
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2025年11月、中国で楽しみにされていた日本の人気アニメ映画、「クレヨンしんちゃん」と「はたらく細胞」の2作品が、急に公開延期(期限は未定)となる出来事があったようです。

一体、中国での「クレしん」公開延期には、どんな理由があるのでしょうか?

ちょっと不思議なのは、同じ時期に公開が始まった「鬼滅の刃」は、ものすごいヒットを続けている点です。この「なぜ?」と思う状況の裏には、どうやら高市早苗さんの政治的な発言が関係しているのではないか、という見方が出ているんですね。

この記事では、今わかっている情報から、何が起こったのか、その背景に何があるのかを、できるだけ分かりやすく見ていきたいと思います。

中国で「クレしん」「はたらく細胞」公開延期

2025年11月17日のこと。中国で映画を配給している関係者のもとに、日本のアニメ映画2作品の公開を延期するように、という「通知」が届いたと報じられています。

その2作品とは、12月6日から公開予定だった「映画クレヨンしんちゃん 超華麗! 灼熱のカスカベダンサーズ」と、11月22日公開だった映画「はたらく細胞」のことです。

中国の仕組みの中での「通知」というのは、ちょっと特別な意味を持つことがあるようです。政府の機関が「表立ってではないけれど、こうしなさい」と指示するようなもので、公式な発表がなくても、現場では従わなければならない強い力があると言われています。

今回、特に心配されているのが、新しい公開日が「いつになるか分からない」とされている点です。「ちょっとスケジュールが変わった」という話ではなく、政治的な理由で「ストップ」がかかった状態なのかもしれません。

もちろん、この決定は日本の映画を作った側や配給する会社にとって、経済的に大きな痛手となる可能性があります。中国側の配給会社だって損をしてしまいますよね。

ただ、中国の当局側から見ると、これら2作品はまだ公開が始まって「前」でした。もし、すでに大ヒット上映中の映画を止めてしまうと、中国国内でも経済的なロスが大きいですし、映画ファンからの不満も出て混乱するかもしれません。

そう考えると、国内でのダメージを一番少なくできる、これら2作品が、日本と中国の間のちょっとギクシャクした空気の中で、ある種の「人質」のような形で選ばれてしまったのでは…という見方も出ているようです。

公開延期が決定した2作品と報じられた内容の詳細

では、もしかして延期になった2作品の「内容」そのものに、中国のルール(検閲)に引っかかる部分があったのでしょうか?

もしそうなら、今回の件は政治的な話ではなく、いつものチェック作業の一つだったと考えられますよね。

まず「映画クレヨンしんちゃん 超華麗! 灼熱のカスカベダンサーズ」ですが、これはインドでダンス大会に出る、というお話のようです。

ストーリーの中には、しんちゃんの友達のボーちゃんが「力を持った暴君」のようになってしまう場面が含まれている、との報道もあります。中国のチェックが「暴君」みたいなテーマに厳しい可能性はゼロではありませんが、この映画はもう「12月6日公開」と具体的に決まっていたんです。

次に、実写の映画「はたらく細胞」です。これは赤血球や白血球たちの活躍を描くものですね。こちらでは、喫煙や飲酒、さらには癌や化学療法といった、かなり真面目なテーマも扱っているとされています。ただ、中国のチェックの仕組みでは、医療や病気を描くこと自体がダメ、ということは少ないようです。

この2つの作品について考えると、どちらも中国共産党中央宣伝部のもとにある国家電影局というところの厳しい審査をクリアして、「この日に公開OK」と決まっていたと考えるのが自然だと思われます。

だとすると、11月17日に急に「延期」と決まったのは、映画の「中身」が理由ではなく、その映画が「日本で作られたもの」だから、という点が問題になった可能性が考えられるわけです。

高市発言が影響?

今回の延期のきっかけとして、高市早苗さんの政治的な発言が影響したのでは、という見方が強いようです。高市さんは10月に首相になりましたが、以前から中国に対しては強い態度をとることで知られていたとされています。

その高市さんが、2025年11月7日から10日にかけて国会で答弁した際、台湾で何かあった場合について「武力による攻撃が関わるなら、それは間違いなく(日本の)存立危機事態になり得る」とはっきり述べました。

この発言が、中国政府がとても大切にしている台湾の問題について、これまでの日本政府が取ってきた「はっきり言わないでおく」というやり方を変えた、と受け取られた可能性があります。中国側は「ひどい内政干渉だ」といった形で、ものすごく強く非難したと報じられています。

この発言があってから、中国側は「お返し」とも取れるような動きを順番に始めたように見えます。報道によると、11月13日に中国の外務省が発言を取り消すよう求め、14日には金杉憲治さんへ強く抗議しました。同じ日、中国の薛剣さんがSNSで適切とは言えない投稿をする出来事もあったようです。

そして15日には「日本へ行くのは控えて」という呼びかけ、16日には「日本への留学」に関する注意が出されました。こうした流れの中で、17日にアニメ映画の公開延期が「通知」されたというわけです。

でも、ここで一つの疑問が浮かびますよね。

これだけ強い対応をしているのに、11月14日に公開されたばかりの「劇場版『鬼滅の刃』無限城編」は、どうして無事に上映が続けられているのでしょうか。この映画、公開して数日で興行収入が4億元(約87億円)に届きそうな、ものすごい大ヒットになっていたんです。

もし、この大ヒット中の「鬼滅の刃」を「はい、中止!」としてしまうと、中国国内にとっても2つの大きなマイナスがあると分析されています。

  • 一つ目は、すでにお金をたくさん使って上映している中国の配給会社や映画館が、とんでもない大損害を受ける「自分で自分を傷つける行為」になってしまうことです。
  • 二つ目は、熱狂的なファンがたくさんいる人気作品を、いきなり国民から取り上げることは、中国共産党が大切にしている「社会の安定」を乱すかもしれない、危ない行動だという点です。

こうした理由から、「鬼滅の刃」はあまりにも人気が出すぎて、商業的にも「大きすぎて禁止できない状態になり、今回の「お返し」のターゲットから外れたのでは、と見られています。

それと比べると、まだ公開されておらず、中国国内でのコストがほぼゼロの「クレヨンしんちゃん」と「はたらく細胞」は、日本へ政治的なメッセージを送るための「ちょうどいいターゲット」にされてしまったのかもしれません。

これは、中国当局が、儲かるものはしっかり儲けつつ、まだ公開していない作品を「人質」に使うという、かなりハッキリした使い分けをしていることを示している可能性がありそうです。

なぜ政治的発言がアニメ映画の公開延期につながるのか?

政治家の「政治」の話が、どうしてすぐにアニメ映画という「文化」に影響するのでしょうか。その背景には、中国ならではの映画チェックの仕組みがあるようです。

中国の映画ビジネスは、中国共産党中央宣伝部が直接管理している国家電影局という組織によって、厳しく管理されています。この仕組みの中では、映画はただ楽しむものというだけでなく、党の考え方を人々に広めるための「社会をまとめる手段」という側面も持っているとされています。

国家電影局は党の組織の一部なので、何かを決めるとき、ビジネスとして儲かるかどうかよりも、党の政治的な考えが優先されることがあるようです。

ですから、もし東京での政治家の発言が、党がとても大切にしていること「核心的利益」への「挑戦だ」と判断されれば、その考えに沿って文化面での「お返し」が行われることは、この仕組みの中ではあり得る流れなのかもしれません。

過去にも似たようなことがありました。例えば2012年、尖閣諸島の問題で対立した時は、日本映画の新作公開が、実際には全部ストップしてしまったと言われています。

しかし、今回の件を考える上で、もっと参考になるとされているのが、2017年に韓国に対して行われたTHAADの配備をめぐる「お返し」の動きです。

この時、中国政府は「韓国の文化を禁止します」という公式な法律は出しませんでした。その代わり、表立たない「通知」という形で、K-POPアイドルの公演ビザを出さなかったり、韓国ドラマの放送を止めさせたりしたのです。

このやり方がうまかった点は、韓国側にとってはダメージが大きいけれど、中国国内の経済の大きな部分には影響しない「文化」や「観光」といった分野を、ピンポイントで狙った「選び方」にあります。

今回の日本アニメへの対応は、2012年の「全部ダメ」というやり方ではなく、この2017年の韓国への「限韓令」のやり方を、日本に当てはめたものだと分析できそうです。

中国政府は、高市さんの発言に対抗するために、「観光」「教育」「文化」といった、日本側がダメージを受けやすい分野を「選んで」攻撃したように見えます。その一方で、中国国内で大きなお金を生み出している「鬼滅の刃」は、そのターゲットから外した、というわけですね。

まとめ

今回の「クレヨンしんちゃん」と「はたらく細胞」が中国で公開延期になった件について、今出ている情報をもとに見てきました。

結論としては、この延期は映画の中身が問題だったからではなく、高市早苗さんの台湾に関する発言に対して、中国政府が意図的に、そして計算して行った日本への「お返し」である可能性が非常に高い、と考えられそうです。

「鬼滅の刃」は上映が続いているのに、なぜ?と一見不思議に思えますが、これは中国の戦略が「どっちつかず」というわけではなく、むしろ、とてもよく計算されていることを示しているのかもしれません。

つまり、国内の経済的なダメージやファンの混乱は避けながら、まだ公開していない作品を「人質」のように使うことで、「政治的なメッセージを送る」ことと「経済的な利益を得る」ことを両立させる。「選んでお返しをする」という戦略だと見ることができそうです。

この出来事は、日本のエンタメ業界にとって、中国市場が「ルールさえ通れば大丈夫」という単純な場所ではなくなった、という現実を見せつけているのかもしれません。

作品の中身とは関係なく、政治家の言葉ひとつで、すべてがストップしてしまうかもしれない。そんな「政治的なリスク」も考えながらビジネスをしなければならない時代になった、ということなのかもしれませんね。

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