大阪府吹田市のエキスポシティにある日本最大級の観覧車「オオサカホイール」で、落雷によるトラブルが発生しました。
なんと、約20名の乗客が地上高くに取り残され、全員が救助されるまでに約9時間もかかってしまったのです。
「どうしてそんなに時間がかかったの?」
「トイレや寒さは大丈夫だったの?」
そんな疑問を持たれるのも無理はありません。この記事では、なぜ救助がこれほど難航してしまったのか、そして「空白の3時間半」に何が起きていたのかについて、分かりやすく紐解いていきます。
【エキスポ観覧車9時間閉じ込め】なぜ救出に時間がかかった?
今回の事故で9時間もの長い間、乗客が閉じ込められてしまった最大の理由は、落雷によって観覧車を動かすためのシステムそのものが「物理的に壊れてしまった」ことにあります。
ニュースなどの情報によると、これは家庭でブレーカーが落ちるような単なる停電ではありませんでした。雷の非常に強い電気が地面を通って逆流し、機械を制御する「頭脳」にあたる精密機器を焼き切ってしまった可能性が高いと言われています。
通常、高い建物には避雷針などの対策がありますが、今回の雷はそうした想定をはるかに超えるエネルギーだったのかもしれません。
さらに、オオサカホイールは高さが123メートルもある巨大な乗り物です。そのため、万が一の時に暴走しないよう、何重もの強力なブレーキが備わっています。
電気が止まると、安全のためにこのブレーキが「ガチッ」と自動でロックされる仕組みなのですが、今回はシステム自体が壊れてしまったため、このロックを解除する指令すら出せなくなってしまったようです。
つまり、再起動して通常通りに乗客を降ろそうとしても、システムが応答せず、どうにもならない状態に陥ってしまったと考えられます。
救出遅延の理由は「手動操作」の想定時間?
システムがダウンした後、消防へ通報が入るまでに約3時間半もの時間が空いています。なぜ、すぐに助けを呼ばなかったのでしょうか。
ここには、「自分たちでなんとかできるはずだ」という現場の判断と、予想以上に難しかった手動操作の壁があったようです。
通常、こうしたトラブルが起きたときは、まずシステムの再起動を試みます。
しかし、今回は機械が壊れているため、何度やっても直りません。そこでスタッフの方々は、人の手や予備の動力を使って観覧車を回す「手動操作」に切り替えたのでしょう。
「大ごとにはしたくない」「自力でお客様を地上に戻したい」という責任感から、懸命に作業を続けたことが想像できます。
しかし、ここに心理的な落とし穴がありました。
「もう少し頑張れば動くかもしれない」と思って作業を続けているうちに、時間が経てば経つほど後に引けなくなってしまい、結果として外部へ助けを求めるタイミングを逃してしまった可能性があります。
さらに、不運なことに当日の環境も味方をしませんでした。 ゴンドラに乗っているお客様の位置によって全体のバランスが悪く、動かすにはものすごい力が必要でした。
そのうえ、強い北風が巨大な車輪に吹き付け、ブレーキのように働いてしまったのです。人の力や小さなエンジンでは、この重さと風に勝つことができず、観覧車はびくともしなかったのではないかと推測されます。
最終的に21時過ぎに消防へ通報されましたが、そこからの救助も一筋縄ではいきませんでした。 はしご車でも届かない高さにお客様がいるため、消防隊員たちは慎重に観覧車を少しずつ回しては止め、位置を低くして救助するという作業を繰り返す必要がありました。
この「インチング」と呼ばれる気の遠くなるような作業の連続が、夜明け近くまで救出がかかってしまった大きな要因です。
氷点下に近い寒さとトイレ問題
9時間もの間、空中に取り残された乗客の皆さんが直面したのは、厳しい寒さとトイレの問題でした。想像するだけで胸が痛みます。
オオサカホイールの特徴である透明なゴンドラは、景色が良い反面、夜になると熱が逃げやすく、まるで冷蔵庫のような状態になりやすいと言われています。
事故当日の夜は気温が下がっており、地上よりもさらに寒い上空100メートル付近では、冷たい風が吹き荒れていました。風速が1メートル強くなるごとに、体感温度は約1度下がるとも言われています。
暖房の切れたゴンドラの中は、おそらく氷点下に近い寒さだったのではないでしょうか。もし薄着で乗っていたとしたら、体調を崩すリスクもある危険な環境でした。
そして、もう一つ深刻だったのがトイレです。寒い場所にいると、体が体温を逃がさないように反応し、いつもよりトイレが近くなることがあります。
9時間もの間、これを我慢し続けるのは生理的に限界を超えています。
報道によると、ゴンドラ内には簡易トイレなどの備えはなかったそうです。 いつ助けに来てもらえるか分からない不安の中で、震えるような寒さと我慢できない尿意に耐えなければならなかった辛さは、計り知れません。
単に「不便だった」という言葉では片付けられない、心身ともに大きなダメージを受ける過酷な状況だったと言えるでしょう。
雷発生時の判断と外部との連絡手段は適切だったのか?
今回の事故を受けて、「そもそも雷注意報が出ているのに運行を続けて良かったのか?」という点が議論になっています。
遊園地などの施設では、通常、風の強さや雷の状況によって運行を止めるルールがあります。しかし今回は、雷雲が近づいていても運行が続けられていました。
「実際に雷が落ちたり、強風が吹いたりするまでは止めない」という、少しリスクを許容した運用だったのかもしれません。 商業施設として利益を上げたい気持ちと、安全を守るバランスにおいて、結果的に安全への配慮が少し足りなかったのではないか、という指摘も見受けられます。
また、外との連絡手段についても課題が見えてきました。止まってから消防へ連絡するまでに3時間半もかかった事実は、緊急時の連絡ルールがうまく機能していなかったことを示しているかもしれません。
「停止してから〇分経ったら、自動的に消防へ通報する」といった明確な決まりがあれば、ここまで遅れることはなかった可能性があります。
さらに心配なのは、停電によってゴンドラ内のインターホンが使えなくなっていた可能性です。もし連絡が取れなかったとしたら、中にいるお客様は状況が全く分からず、恐怖心は倍増していたことでしょう。
専門家からは、法的な安全配慮義務に触れる可能性も指摘されていますが、今は何よりも、こうした「想定外」を二度と起こさないための仕組み作りが求められています。
まとめ
エキスポシティの観覧車で起きた9時間閉じ込め事故は、落雷という自然災害がきっかけではありましたが、その後の対応や事前の備えに課題があったことで、被害が大きくなってしまいました。
今回のポイントを整理すると、以下のようになります。
- 機械が完全に壊れたこと: 雷の衝撃でシステムが物理的に故障し、簡単に再起動できませんでした。
- 助けを呼ぶのが遅れたこと: 自分たちで直そうと頑張りすぎた結果、消防への連絡まで3時間半も空いてしまいました。
- 環境が過酷すぎたこと: 暖房のないガラス張りの密室は極寒で、トイレなどの備えもなかったため、乗客は大変な思いをしました。
最新の設備であっても、電気がなくなればリスクのある密室に変わってしまうことを、今回の事故は私たちに教えてくれました。
今後は、雷への対策を強化するのはもちろんですが、「迷わずすぐに助けを呼ぶ」ためのルールの徹底や、万が一のためにゴンドラ内に防災グッズを用意するなど、乗客の安全と尊厳を守るための具体的な対策が進むことを願います。

























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