2025年11月1日、イギリスの列車内で乗客が次々と刺されるという衝撃的な事件が発生しました。
「9人が重体」という深刻な事態を受け、英国警察はこの事件を「重大インシデント」に指定しています。
英列車刺傷事件とは?
9人が重体となった事件の概要
事件が起きたのは、2025年11月1日の夜でした。英国交通警察(BTP)への通報は、午後7時39分から42分頃にかけて集中しました。
現場となったのは、英国中部ドンカスターを午後6時25分に出発し、ロンドン中心部のキングス・クロス駅へ向かっていたLNER(ロンドン・ノース・イースタン鉄道)の列車内です。
列車がロンドンから北へ約120km離れたケンブリッジシャー州のハンティンドン駅に近づいていた際、この凶行は起きました。
通報を受け、列車はハンティンドン駅で緊急停車しました。
被害の状況は極めて深刻です。英国交通警察(BTP)の公式発表によると、合計10人が病院に搬送されました。
そのうち9人が「重体」であると報じられています。残る1人も負傷していますが、命に別状はないとのことです。これほどの惨事にもかかわらず、11月2日時点で死者が報告されていない点は、不幸中の幸いと言えるかもしれません。
緊迫した車内の状況
現場となった車内は、凄惨な状況だったことが目撃者の証言から明らかになっています。複数の目撃者が、英タイムズ紙などに「車内は血だらけだった」と語っています。
突然の出来事に、乗客はパニック状態に陥りました。犯人から逃れるためにトイレに鍵をかけて隠れたり、逃げ惑う人々が折り重なるように倒れ、「他の人々に踏まれる」ほどの混乱だったことが伝えられています。
その極限状態の中、勇敢な行動を取った乗客もいました。
ある目撃者は、「ひどく血まみれになった」男性が、「あいつらナイフを持ってるぞ!俺は刺された!」と叫びながら、他の乗客に危険を知らせて車両を移動し、その後床に倒れ込む姿を見ています。
自らも深手を負いながら、被害の拡大を防ごうとした人がいたという事実は、事件の残忍さを一層際立たせています。
逮捕された犯人2人の人物像は?
事件の通報を受け、ハンティンドン駅には武装警察を含む多数の警官隊、さらに航空救急ヘリまで出動する、大規模な緊急態勢が敷かれました。
武装警官が緊急停車した列車に突入し、容疑者として男2人を逮捕しました。2人はそのまま警察の拘留下に置かれています。
駅のプラットフォームでは、「大きなナイフ」を持った男が、警官にテーザー銃(スタンガンの一種)で制圧される瞬間を目撃した人もおり、緊迫した状況が伺えます。
では、逮捕された「犯人2人の人物像」はどのようなものなのでしょうか。
この点について、2025年11月2日の警察発表の段階では、逮捕された男2人の身元、年齢、国籍、職業といった「人物像」に関する情報は一切公表されていません。
海外のニュースでは、別の事件の容疑者情報が混ざって報じられることもありますが、このハンティンドンの事件に関しては、公式な犯人像はまだ何も分かっていないのが現状です。
犯行の動機と理由はなぜ?
最も知りたい「なぜこんな事件が起きたのか」という犯行の動機と理由についてです。この「英列車刺傷事件」の「動機」こそが、最大の焦点となっています。
警察の公式発表「動機は不明」
まず最も重要なこととして、英国交通警察(BTP)のクリス・ケーシーさん(警視長)は、「動機や全容を解明するには時間がかかるだろう」と述べています。
同時に、クリス・ケーシーさん(警視長)は「この早い段階で事件の原因について憶測することは適切ではない」と、国民やメディアに対して強く自制を求めました。
この呼びかけは、英国のシャバナ・マフムードさん(内務大臣)からも「捜査への憶測を避けてほしい」と発せられており、政府と警察が足並みを揃えて、情報が錯綜するのを警戒している様子がわかります。
「テロ」の可能性は?
現時点(11月2日)で、英国交通警察(BTP)は、この事件を「テロ事件」とは断定していません。
しかし、同時に非常に重要な発表をしています。
それは、「テロ対策警察が我々の捜査を支援している」というものです。
これは「テロだ」と結論づけたものではなく、「テロの可能性が排除できないため、テロ捜査の専門家チームのリソース(情報網や分析官)を使って、動機を慎重に調べている」ということを意味します。
つまり、テロの可能性も視野に入れた、非常にハイレベルな捜査が開始されたサインと受け取れます。
「プラトン作戦」の発動が意味するもの
事件の深刻さを物語る、もう一つの重要な手がかりがあります。一部の報道によると、警察は事件発生直後、一時的に「プラトン作戦」と呼ばれるコードネームを発動しました。
これは、英国の警察や救急サービスで使われる国家的な緊急対応コードの一つです。「進行中の無差別テロ攻撃」が発生した、あるいはその疑いが極めて濃厚であると判断された場合に発動されます。
この「プラトン作戦」が発動されたという事実は、警察が現場の第一報を受け、「最悪の事態」を想定したことを示しています。
その後、武装警官が現場に到着し、容疑者2人を逮捕・拘束したことで、「進行中の脅威」は取り除かれました。そのため、現場の緊急対応コードとしての「プラトン」は「解除」されたのです。
しかし、これはあくまで「現場の脅威が去った」ことを意味するに過ぎません。
逮捕した2人の「動機」がテロであったかどうかは、まだ分かっていません。その「動機」を解明するための捜査として、「テロ対策警察」の支援は継続されている、というのが現状です。
犯人2人が意味すること
もし犯人が1人であれば、精神的な問題などによる衝動的な無差別犯罪の可能性も考えられます。しかし、今回の事件では「犯人が2人」逮捕されています。
2人が同時にこのような凶行に及ぶには、事前の「計画」や「意思の疎通」があった可能性が高まります。このような「共謀」や「計画性」こそが、単なる個人の衝動ではなく、何らかの思想やイデオロギーに基づいた「テロ」の可能性を警察に強く意識させる要因となっていると考えられます。
警察や政府がこれほど「憶測するな」と強く呼びかけるのには、もう一つ深い理由があります。
英国は非常に多様な人種や移民が暮らす国です。このような事件で、SNSなどを通じて「犯人は〇〇系らしい」といった未確認の情報(憶測)が拡散されると、特定のコミュニティ(人々)に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)や、社会的な対立を引き起こす火種になりかねません。
当局の警告は、捜査を混乱させないためであると同時に、事件が社会全体の不安や分断に発展することを防ぐための、非常に重要なメッセージなのです。
英列車刺傷事件に対するネットや現地のコメントは?
この衝撃的な事件に対し、ネット(X、旧Twitter)や現地からは様々な反応が寄せられています。
政府関係者や市長の反応
英国のキア・スターマーさん(首相)はX(旧Twitter)を更新し、「ハンティンドン近郊での言語道断の事件に深く憂慮している」と投稿しました。「影響を受けた全ての人々に思いを寄せるとともに、緊急対応にあたった方々に感謝する」と述べています。
シャバナ・マフムードさん(内務大臣)も同じくXで、事件に「深く心を痛めている」とし、「容疑者2名は直ちに逮捕・拘留された。捜査に関する憶測は避けてほしい」と、国民に冷静な対応を呼びかけました。
事件が起きたハンティンドンを含む地元の市長であるポール・ブリストウさん(市長)は、「列車内でぞっとするような光景があったとの報告を聞いた」とXに投稿し、その衝撃を隠せない様子でした。
鉄道会社と労働組合の声明
事件の影響は各方面に広がっています。LNER(鉄道会社)は、「弊社の列車で事件が起きたことを認識している。
最優先事項は、乗客と乗組員の安全だ」と声明を発表しました。この事件の影響で全線で「大幅な遅延」が発生しているとして、乗客に旅行を控えるよう強く呼びかけました。
また、鉄道の労働組合であるRMTのエディ・デンプシーさん(書記長)は、「深く憂慮している。被害者、列車の乗務員、そして対応にあたった全ての緊急サービス関係者に思いを寄せる」とコメントしました。
現地住民や乗客の不安
世間の関心は、どうしても負傷した「乗客」に集中しがちです。しかし、RMT(労働組合)の声明が「列車の乗務員」にも言及している点は見過ごせません。
運転士や車掌といった乗務員たちもまた、この惨劇の第一目撃者であり、被害者です。彼らも、極度の恐怖の中で、乗客の避難誘導、警察への通報、列車の緊急停止といった重大な職務を全うしたと考えられます。
駅で待っていた乗客や地元住民は、武装警官が列車に突入する緊迫した様子や、負傷者が次々と運び出される光景を目の当たりにし、言葉を失ったといいます。
このような事件は、「イギリスの治安は大丈夫?」といった、海外旅行に対する漠然とした不安を、非常に現実的な恐怖に変えてしまいます。
特に、家族の安全を考える層にとっては、「もし自分や家族がこの列車に乗っていたら…」と想像し、今後の公共交通機関の利用そのものに、強い不安を感じさせるものとなりました。
国内の世間の反応やコメントまとめ
また、国内のニュース報道に対してのコメントを見ると、最も顕著な傾向は、事件の背景に「移民」や「特定の宗教(イスラム教)」があると強く推測、あるいは断定する声です。
また、この事件を「対岸の火事」ではなく、「数年後の日本の姿」として捉え、日本の現状と将来の治安を危惧する声が大多数を占めています。
犯行の態様、特に「密室」と「複数犯」である点に強い恐怖を感じるという反応も多く見られました。日本のメディアが、移民問題の深刻さや海外のデモを正確に報じていないのではないか、という不信感を示すコメントも見られました。
まとめ:英列車刺傷事件の動機とテロの可能性について
最後に、この「英列車刺傷事件」について、読者の皆様が最も知りたかったポイントをまとめます。
何が起きたか? 11月1日夜、英国のロンドン行き列車内で、乗客が次々と刺される事件が発生しました。10人が病院に運ばれ、うち9人が重体という深刻な事態となっています。列車が緊急停車したハンティンドン駅で、男2人が容疑者として逮捕されました。
犯人は誰? 2人の男が逮捕されましたが、その身元や年齢、国籍といった人物像は一切わかっていません。
動機はなぜ? 犯行の動機や理由は、現在警察が捜査中であり、公式には「不明」です。
テロの可能性は? この事件は、公式には「テロ事件」とは認定されていません。しかし、「テロ対策警察(CTP)」が捜査を支援していること、発生直後に「プラトン作戦(テロ警報)」が発動されたことから、テロの可能性は排除されておらず、最重要の捜査対象の一つであることは間違いありません。
この「英列車刺傷事件」の「動機」については、まだ分からないことが非常に多く、警察や政府は「憶測しないでほしい」と強く呼びかけています。これは、不正確な情報がパニックや新たな偏見を生まないようにするためです。
今は、重体となっている9人の方々の一刻も早い回復を祈るとともに、警察による詳細な捜査の進展(動機の解明)を待つ必要があります。
幸いにも容疑者は現場で逮捕されており、これ以上の脅威は封じ込められています。新しい情報が入り次第、この記事でも更新してお伝えしていきます。



























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