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潜水艦は、海の中を進むだけでなく、自分で沈んだり浮上したりできる乗り物です。その動きの中心にあるのが「バラストタンク」と呼ばれるタンクです。
潜水艦が浮く仕組み、沈む仕組み、浮上する仕組みは、バラストタンクに海水を入れたり、圧縮空気で海水を押し出したりすることと深く関係しています。名前は少し難しく感じますが、基本は「重さ」「浮力」「密度」のバランスです。
この記事では、潜水艦のバラストタンクとは何か、水を入れるとなぜ沈むのか、空気を入れるとなぜ浮くのかを、初心者にも分かりやすく紹介します。
潜水艦のバラストタンクとは?まずは役割を確認
結論からいうと、バラストタンクとは、潜水艦が沈んだり浮いたりするために使うタンクのことです。
潜水艦は、バラストタンクの中に海水を入れることで重くなり、反対にタンク内の海水を外へ出して空気を入れることで軽くなります。つまり、バラストタンクは潜水艦の浮き沈みを調整するための重要な装置です。
| 状態 | バラストタンクの中 | 潜水艦の動き |
|---|---|---|
| 海上に浮いている | 主に空気 | 浮きやすい |
| 潜航するとき | 海水が入る | 沈みやすい |
| 水中で深さを保つとき | 海水と空気を調整 | 中性浮力に近づく |
| 浮上するとき | 圧縮空気で海水を押し出す | 浮きやすい |
バラストタンクは、船や潜水艦などの浮力を調整するために水を入れる区画です。潜水艦では、バラストタンクを使って浮力をコントロールします。
バラストタンクは潜水艦の浮き沈みを調整する場所
バラストタンクは、潜水艦の形を変える装置ではありません。
変えているのは、潜水艦全体としての重さや密度です。タンク内に空気が多いと潜水艦全体は軽くなり、海水が入ると重くなります。
初めて聞くと複雑に感じますが、考え方はシンプルです。
- 空気が多い:軽くなるので浮きやすい
- 海水が多い:重くなるので沈みやすい
- 重さと浮力が近い:水中にとどまりやすい
この変化を利用して、潜水艦は海面に浮いたり、海中へ潜ったりします。
メインバラストタンクとは
メインバラストタンクとは、潜水艦の潜航や浮上に大きく関わる主要なバラストタンクです。
潜水艦が潜航するときは、メインバラストタンクに海水を入れて浮力を下げます。浮上するときは、圧縮空気を使ってタンク内の海水を外へ押し出し、再び浮きやすい状態にします。
潜水艦の技術資料では、メインバラストタンクは潜水中に通常海水で満たされ、浮上時には圧縮空気で水を外へ出すと説明されています。
潜水艦が浮く仕組みは「浮力」と「密度」が関係している
潜水艦が浮いたり沈んだりする仕組みを理解するには、まず「浮力」と「密度」を押さえると分かりやすくなります。
浮力とは、水の中にある物体を上向きに押し上げる力です。NOAAの教育ページでは、浮力は物体が押しのけた水の重さと同じ大きさの上向きの力であり、押しのける水の量や液体の密度が関係すると説明されています。
浮力が重さより大きいと浮く
水の中にある物体は、下向きに重さがかかり、上向きに浮力を受けます。
| バランス | 物体の動き |
|---|---|
| 浮力が重さより大きい | 浮く |
| 浮力と重さがほぼ同じ | 水中にとどまりやすい |
| 重さが浮力より大きい | 沈む |
潜水艦も同じです。バラストタンクの中身を変えることで、潜水艦全体の重さと浮力のバランスを変えています。
密度が海水より大きいと沈み、小さいと浮く
もうひとつ大事なのが「密度」です。
密度とは、同じ大きさの中にどれくらいの重さが詰まっているかを表す考え方です。NOAAの解説でも、密度は一定の体積あたりの質量として説明されています。
潜水艦の場合は、バラストタンクに海水が入ると全体の密度が大きくなります。海水より重い状態に近づくと沈みやすくなります。
反対に、バラストタンク内の海水を外へ出して空気を入れると、潜水艦全体の密度は小さくなります。海水より軽い状態に近づくと、浮きやすくなります。
潜水艦は船体の形だけでなく全体の密度を変えている
普通の船は、船体の形によって水を大きく押しのけ、浮力を得ています。
潜水艦も水から浮力を受けていますが、バラストタンクの中身を変えられる点が特徴です。海上では空気を多くして浮きやすくし、潜航するときは海水を入れて沈みやすくします。
船体の大きさが同じでも、中身が空気か海水かで、潜水艦全体の状態は大きく変わります。
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潜水艦が沈む仕組み|バラストタンクに水を入れるとなぜ沈む?
潜水艦が沈むときは、バラストタンクに海水を入れて、潜水艦全体を重くします。
より具体的には、バラストタンクの上部にある空気を逃がし、下から海水が入るようにします。空気が抜けて海水が入ると、潜水艦全体の浮力が下がり、沈みやすい状態になります。潜水艦のバラストタンクでは、上部のベントから空気を逃がし、下側から水を入れることで潜航する仕組みが説明されています。
「潜水艦に水を入れる」とはタンクに海水を入れること
潜水艦が沈む仕組みを聞くと、「船の中に水を入れて大丈夫なの?」と思うかもしれません。
ここでいう水は、乗組員がいる部屋に入れるわけではありません。海水を入れるのは、潜航や浮上のために作られたバラストタンクです。
潜水艦の中には、人がいる区画や機械がある区画があります。それとは別に、海水を入れるためのタンクがあり、その中身を変えることで浮き沈みを調整しています。
海水が入ると潜水艦全体が重くなる
バラストタンクに海水が入ると、潜水艦全体の重さが増えます。
空気は軽く、海水は重いため、同じタンクでも中身が空気か海水かで潜水艦全体の状態が変わります。
- タンク内の空気が抜ける
- 海水がバラストタンクに入る
- 潜水艦全体が重くなる
- 浮力より重さが勝ちやすくなる
- 潜水艦が沈みやすくなる
これが、潜水艦が水を入れると沈む基本的な仕組みです。
潜航は一気に落ちるのではなく調整しながら行う
バラストタンクに海水を入れると沈みやすくなりますが、潜水艦は石のように真下へ落ちるわけではありません。
実際の潜水艦は、バラストタンクで大まかな浮力を調整しながら、深さや姿勢もあわせて調整します。潜水艦の深度調整には、メインバラストタンクだけでなく、深度調整用のタンクや潜舵も関係します。
初心者向けには、まず「バラストタンクで浮き沈みの大きな状態を変える」と覚えると理解しやすくなります。
潜水艦が浮上する仕組み|圧縮空気で水を押し出す
潜水艦が浮上するときは、バラストタンク内の海水を外へ出し、代わりに空気を入れます。
このときに使われるのが圧縮空気です。圧縮空気をバラストタンクへ送り込むと、タンク内の海水が外へ押し出されます。
空気を入れると潜水艦全体が軽くなる
バラストタンクの中が海水で満たされている状態では、潜水艦は沈みやすくなっています。
そこへ圧縮空気を送り込むと、海水が外へ出て、タンク内に空気が増えます。すると、潜水艦全体の重さが減り、浮力の方が勝ちやすくなります。
その結果、潜水艦は水面へ向かって浮上します。
圧縮空気は海水を外へ押し出すために使われる
圧縮空気は、ただ空気を入れるためだけに使われるわけではありません。
重要なのは、タンク内の海水を外へ押し出すことです。メインバラストタンクが海水で満たされている場合、浮上時には圧縮空気で水を外へ出す必要があります。
潜水艦の空気系統に関する技術資料でも、潜水艦が浮上するときは圧縮空気を使ってメインバラストタンクの水を海へ排出すると説明されています。
浮上するときの流れ
潜水艦が浮上する流れを簡単に見ると、次のようになります。
| 手順 | 起きること |
|---|---|
| 1 | バラストタンクへ圧縮空気を送る |
| 2 | タンク内の海水が外へ押し出される |
| 3 | 潜水艦全体が軽くなる |
| 4 | 浮力が重さより勝ちやすくなる |
| 5 | 潜水艦が浮上する |
つまり、潜水艦が浮上する仕組みは「空気で水を押し出し、全体を軽くすること」です。
潜水艦が水中で止まれるのは中性浮力に近づけるから
潜水艦は、沈むか浮くかだけでなく、水中のある深さにとどまることもあります。
このときに関係するのが「中性浮力」です。
中性浮力とは何か
中性浮力とは、重さと浮力のバランスが近くなり、水中で沈み続けるでも浮き続けるでもない状態のことです。
潜水艦が水中で一定の深さを保つには、全体の重さと浮力のバランスを調整する必要があります。
| 状態 | 浮力と重さの関係 | 動き |
|---|---|---|
| 正の浮力 | 浮力が重さより大きい | 浮く |
| 中性浮力 | 浮力と重さが近い | 水中にとどまりやすい |
| 負の浮力 | 重さが浮力より大きい | 沈む |
潜水艦のバラストタンクは、この浮力の状態を変えるために使われます。
水中では細かな調整が必要になる
潜水艦が水中で深さを保つには、ただバラストタンクに水を入れればよいわけではありません。
海水の状態、潜水艦の重さ、燃料や物資の消費、深さによる圧力など、さまざまな要素が関係します。そのため、実際の潜水艦では、細かな浮力調整や姿勢調整も行われます。
バラストタンクは大きな浮き沈みに関わる装置であり、水中での細かな動きには別の装置も関係します。
バラストタンクだけで深さを細かく調整しているわけではない
潜水艦の潜航・浮上では、バラストタンクが大きな役割を持ちます。
ただし、潜水艦の細かな深さや姿勢の調整まで、すべてをバラストタンクだけで行っているわけではありません。
トリムタンクは姿勢のバランスに関係する
トリムタンクは、潜水艦の前後の傾きやバランスを調整するために関係するタンクです。
潜水艦は水中で水平に進む必要があります。前が下がりすぎたり、後ろが下がりすぎたりすると、安定して進みにくくなります。
そのため、船体の前後で水の量を調整し、姿勢を整える仕組みがあります。バラスト水をトリムタンク間で移動させ、潜水艦の水平バランスを整える説明もあります。
潜舵は水中での進む向きを変える装置
潜舵は、水中で潜水艦の進む角度を調整するための装置です。
飛行機の翼や舵のように、水の流れを利用して船体を上向き・下向きに動かす働きがあります。潜水艦は、前へ進む力と潜舵の角度を組み合わせて、深さを調整します。
そのため、バラストタンクは「浮く・沈むための大きな調整」、潜舵やトリムタンクは「水中での細かな調整」と考えるとイメージしやすくなります。
潜水艦の中に水を入れても大丈夫なのか
潜水艦が沈むときに水を入れると聞くと、「中に水が入って危なくないの?」と感じるかもしれません。
大事なのは、水を入れる場所が決まっていることです。
水が入るのは専用のバラストタンク
潜水艦が潜航するときに海水が入るのは、専用のバラストタンクです。
乗組員がいる居住区や、機械がある重要な区画に海水を入れるわけではありません。海水を入れる場所と、人や機械を守る場所は役割が分かれています。
つまり、「潜水艦に水を入れる」といっても、船内全体を水で満たすわけではありません。
潜水艦の船体は水圧を受ける前提で作られている
潜水艦は海中で活動するため、水圧を受ける前提で作られています。
海の中では、深くなるほど水圧が大きくなります。そのため、潜水艦には外側の構造や人がいる区画を守る構造があります。
ただし、具体的な構造や耐えられる深さは潜水艦の種類によって異なります。この記事では、バラストタンクによる浮き沈みの基本を中心に押さえておくと十分です。
潜水艦のバラストタンクを身近な例で考える
潜水艦のバラストタンクは、身近なものにたとえるとイメージしやすくなります。
空のペットボトルは浮きやすい
空のペットボトルを水に入れると、浮きやすくなります。
中に空気が入っていて、全体として軽いからです。これは、バラストタンクに空気が多い潜水艦の状態に近いです。
ペットボトルに水を入れると沈みやすい
同じペットボトルでも、中に水を入れると重くなり、沈みやすくなります。
これは、バラストタンクに海水が入った潜水艦の状態に近いです。形は同じでも、中身が変わることで浮き沈みが変わります。
潜水艦はこの変化を大きなスケールで行っている
潜水艦は、ペットボトルのように単純な構造ではありません。
ただ、基本の考え方は似ています。空気が多ければ浮きやすく、水が入れば沈みやすい。この変化を大きな船体でコントロールしているのが、潜水艦のバラストタンクです。
潜水艦のバラストタンクで誤解しやすいポイント
潜水艦の仕組みはシンプルに見えますが、いくつか誤解しやすい点があります。
船内に海水を入れているわけではない
潜水艦が沈むときに「水を入れる」と聞くと、船内に海水を入れているように感じるかもしれません。
実際に海水を入れるのは、専用のバラストタンクです。乗組員がいる場所や機械室に水を入れるわけではありません。
空気を入れるだけで魔法のように浮くわけではない
空気を入れると浮くといっても、空気そのものが潜水艦を引き上げているわけではありません。
大事なのは、圧縮空気によってタンク内の海水が外へ押し出され、潜水艦全体が軽くなることです。その結果、浮力が重さに勝ちやすくなり、浮上します。
バラストタンクだけで水中の動きをすべて決めるわけではない
バラストタンクは、潜水艦の潜航や浮上に欠かせない装置です。
ただし、実際の潜水艦では、深さの細かい調整や姿勢の調整にトリムタンクや潜舵も関係します。バラストタンクは、浮き沈みの基本を支える大きな役割を持つ部分です。
潜水艦全体の構造や艦内生活、潜水と浮上以外の仕組みを知りたい場合は、関連記事「潜水艦の謎を解き明かす!」で全体像を確認できます。
潜水艦のバラストタンクに関するよくある質問
バラストタンクとは何ですか?
バラストタンクとは、潜水艦が浮いたり沈んだりするために、海水や空気を出し入れするタンクです。海水を入れると沈みやすくなり、圧縮空気で海水を外へ出すと浮きやすくなります。
潜水艦はなぜ水を入れると沈むのですか?
バラストタンクに海水を入れると、潜水艦全体の重さと密度が増えるためです。重さが浮力より勝ちやすくなると、潜水艦は沈みやすくなります。
潜水艦はなぜ空気を入れると浮くのですか?
圧縮空気を入れることで、バラストタンク内の海水が外へ押し出され、潜水艦全体が軽くなるためです。軽くなると浮力が重さに勝ちやすくなり、浮上します。
メインバラストタンクとは何ですか?
メインバラストタンクとは、潜水艦の潜航や浮上に大きく関わる主要なバラストタンクです。潜水中は海水で満たされ、浮上時には圧縮空気で水を外へ押し出します。
中性浮力とは何ですか?
中性浮力とは、浮力と重さのバランスが近くなり、水中で沈み続けるでも浮き続けるでもない状態のことです。潜水艦が水中で深さを保つには、この状態に近づける必要があります。
潜水艦はバラストタンクだけで自由に動いているのですか?
バラストタンクは、潜水艦が沈む・浮くための基本的な仕組みに関わります。ただし、実際には深さや姿勢を細かく調整するために、トリムタンクや潜舵なども関係します。
潜水艦の中に海水が入るのですか?
海水が入るのは、専用のバラストタンクです。乗組員がいる場所や機械がある場所に海水を入れるわけではありません。
バラストタンクとトリムタンクは何が違いますか?
バラストタンクは、潜水艦の浮き沈みに大きく関わるタンクです。トリムタンクは、船体の前後のバランスや姿勢を調整するために関係します。どちらも水を使った調整に関わりますが、役割が少し違います。
潜水艦のバラストタンクの仕組みまとめ
- バラストタンクとは、潜水艦が沈んだり浮いたりするために使うタンク
- 潜水艦が浮く仕組みには、浮力と重さのバランスが関係している
- 浮力は、水中の物体を上向きに押し上げる力
- 密度が海水より大きくなると沈みやすく、小さくなると浮きやすい
- バラストタンクに海水を入れると、潜水艦全体が重くなり沈みやすくなる
- 「潜水艦に水を入れる」とは、船内ではなく専用タンクに海水を入れること
- 潜水艦が浮上するときは、圧縮空気でバラストタンク内の海水を外へ押し出す
- 空気が増えると潜水艦全体が軽くなり、浮力で浮きやすくなる
- メインバラストタンクは、潜航と浮上に大きく関わる主要なタンク
- 水中で深さを保つには、中性浮力に近づけることが重要
- 細かな姿勢や深度の調整には、トリムタンクや潜舵も関係する
- 身近な例では、空のペットボトルは浮きやすく、水を入れると沈みやすい状態に近い
潜水艦のバラストタンクは、海水と空気を入れ替えることで、浮力と重さのバランスを変える仕組みです。まずは「水を入れると重くなって沈む」「空気で水を押し出すと軽くなって浮く」と覚えると、潜水艦の潜航・浮上の全体像がつかみやすくなります。
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