タクシーのドアは本当に自動?運転席から開閉する仕組み

スポンサーリンク

日本のタクシーに乗ろうとすると、後部ドアがひとりでに開きます。乗客がドアノブに触れていないため、人感センサーが反応しているように見えるかもしれません。

しかし、一般的なタクシーの自動ドアは、人が近づいただけで勝手に開くセンサー式ではありません。多くの場合、運転手が運転席にあるレバーやスイッチを操作し、乗客が利用する後部ドアを開閉しています。

結論からいうと、タクシーのドアは乗客から見れば自動ですが、実際には運転手が遠隔操作する仕組みです。ここでは、レバー式・バキューム式・電動式の違いや、自動ドアを後付けできる理由、日本で広く普及した背景を紹介します。

目次

タクシーの自動ドアは運転手が操作している

タクシーの後部ドアは、駅やコンビニの入口にあるような人感センサー式の自動ドアとは仕組みが異なります。

運転手が乗客の位置や周囲の状況を確認し、運転席付近にあるレバーやスイッチを操作します。その操作が後部ドアへ伝わり、ドアが開いたり閉じたりします。

日本政府観光局も、日本のタクシーではドアが自動で開閉するため、乗降時に乗客が自分で操作しないよう案内しています。

人が近づくと反応するセンサー式ではない

タクシーが乗客の前に止まり、すぐにドアが開くと、「センサーが人を感知したのでは?」と思いますよね。

実際には、運転手が乗客を確認してドアを開けています。運転席での操作が後部座席から見えにくいため、ドアが勝手に開いたように感じるのです。

電動式の装置には、障害物に接触したときにドアの動作を止める機能が付いている場合があります。ただし、これは乗客を見つけてドアを開ける人感センサーではなく、開閉中の接触に対応するための機能です。

「自動」と呼ばれるのは乗客が操作しないから

レバー式の場合、ドアを動かすための力を出しているのは運転手です。完全に機械だけで動くわけではありません。

それでも自動ドアと呼ばれるのは、乗客がドアノブを操作しなくても、運転席から開閉してもらえるためです。

つまり、タクシーの自動ドアは「無人で自動的に開くドア」というより、運転手が操作する「遠隔開閉式のドア」と考えると仕組みを理解しやすくなります。

タクシーのドアが開く仕組みは主に3種類

タクシー用自動ドアには、主に次の3種類があります。

種類運転手の操作ドアを動かす力主な特徴
レバー式レバーやハンドルを動かす運転手の力構造が比較的シンプル
バキューム式・エアー式スイッチなどを操作するエンジンの負圧少ない力で開閉できる
電動式スイッチを操作する電動モーター操作しやすく機能を追加しやすい

タクシー用自動ドアメーカーのトーシンテックも、電気式、レバー式、エアー式の製品を案内しています。

車種や導入された装置によって方式が異なるため、すべてのタクシーが同じ仕組みで動いているわけではありません。

レバー式は運転手の力を後部ドアへ伝える

レバー式は、運転席付近に取り付けられたハンドルやレバーを動かし、その力を機械的に後部ドアへ伝える仕組みです。

運転手がレバーを押したり引いたりすると、ロッドやワイヤーなどの部品が連動して、後部ドアが開閉します。

トーシンテックのレバー式自動ドアは、運転席からハンドルを操作でき、ハンドルを動かす角度に合わせてドアの開き具合も調節できる仕様です。

道路が狭い場所や、壁や車が近くにある場所では、全開にせず乗り降りに必要な幅だけ開けることもできます。

モーターの力で動く方式ではないため、「手動式オートドア」と呼ばれることもあります。

バキューム式はエンジンの負圧を利用する

バキューム式は、エンジンが生み出す負圧を利用してドアを動かす仕組みです。メーカーでは「エアー式」や「エアードア」と表記される場合もあります。

バキュームは英語で真空や負圧を意味するため、バキューム式とエアー式は、別の方式ではなく同じ仕組みを指して使われることがあります。

運転手がスイッチなどを操作すると、負圧を利用する装置が作動し、その力で後部ドアが開閉します。

トーシンテックも、エアー式について、エンジンの負圧を活用して少ない力でドアを開閉する方式と説明しています。

運転手がドアの重さを直接受け止める必要がないため、レバー式よりも軽い操作で開閉できる点が特徴です。

電動式はモーターでドアを動かす

電動式は、運転席のスイッチ操作によって電動モーターを動かし、後部ドアを開閉する方式です。

トーシンテックの電気式自動ドアには、運転席のスイッチで電動と手動を切り替えられる製品や、障害物に接触するとドアの動作が停止する製品があります。

近年よく見かけるトヨタのJPN TAXIでは、助手席側の後部ドアにパワースライドドアを採用しています。

運転手がコントロールスイッチを引くとドアが開き、押すと閉まります。スイッチを操作している間だけ動き、運転手が手を離すと開閉が停止する仕組みです。

スポンサーリンク

タクシーの自動ドアは後付けされることもある

タクシーの自動ドアは、すべての車両に自動車メーカーの標準装備として付いているわけではありません。

一般的な乗用車に自動ドア用のレバー、ワイヤー、駆動装置、スイッチなどを追加し、タクシー仕様へ改造することがあります。このように、用途に合わせた装置を車両へ取り付ける作業は「架装」と呼ばれます。

トーシンテックでは、クラウンやカムリ、プリウスなどに対応する電気式、レバー式、エアー式自動ドアの後付け架装を案内しています。

そのため、外見は一般的なセダンと似ていても、タクシー車両には運転席から後部ドアを操作するための専用装置が追加されている場合があります。

タクシーのドアを運転手が操作する理由

運転手がドアを操作する仕組みには、乗客の負担を減らすことや、乗り降りのタイミングを管理しやすくする利点があります。

乗客がドアを開ける手間を減らせる

荷物を持っている人や、小さな子どもを連れている人、高齢者などにとって、重いドアを自分で開けることが負担になる場合があります。

運転手がドアを操作すれば、乗客はドアノブに手を伸ばさずに乗り降りできます。

雨の日や手荷物が多いときにも利用しやすく、日本のタクシーを代表するサービスの一つとして定着しています。

周囲を確認してからドアを開けられる

タクシーが道路上に停車した際、後方から自転車やバイクが近づいてくることがあります。停車車両の横を通る自転車にとっても、突然ドアが開くことは注意すべき状況です。

乗客が周囲を見ずにドアを開けるのではなく、運転手が後方を確認して操作することで、開けるタイミングを管理しやすくなります。

レバー式では開く角度も調節できるため、道路幅や周囲の状況に合わせて、ドアを少しだけ開けることも可能です。

乗り降りの流れを管理しやすい

運転手は、車両が停止したことを確認してからドアを開けられます。

乗車時には乗客が着席したこと、降車時には料金の支払いや荷物の受け渡しが終わったことを確認してから開閉できます。

不特定多数の乗客が繰り返し利用するタクシーでは、運転手が乗降の流れを管理できることも、自動ドアが使われる理由の一つです。

タクシーはなぜ助手席側の後部ドアが開く?

タクシーでは、一般的に乗客が乗り降りする側の後部ドアを運転手が操作します。

ただし、左右両方の後部ドアが同じ仕組みで自動開閉するとは限りません。

JPN TAXIの場合、助手席側の後部ドアにはパワースライドドアが採用されていますが、運転席側の後部ドアは手動で開閉するスイング式です。

助手席側にはスライドドアが採用されているため、外側へ大きく張り出さずに開閉できます。狭い場所でも乗降スペースを確保しやすい構造です。

車種や架装内容によって左右のドア構造は異なるため、「タクシーなら左右両方が自動」とは限りません。

タクシーの自動ドアは手動でも開けられる?

タクシーのドアは、装置や車種によって手動で開閉できる場合があります。

レバー式は、運転手が自分の力でレバーを動かしているため、装置そのものは手動です。乗客から離れた運転席で操作しているため、自動ドアのように見えます。

電動式にも、電動と手動を切り替えられる製品があります。トーシンテックの電気式自動ドアでは、運転席のスイッチで電動・手動を切り替えられる仕様が案内されています。

乗客が自分で開けない方がよい

手動で動かせるドアであっても、通常の乗降時は運転手の操作を待つのが基本です。

乗客がドアを引くタイミングと、運転手がレバーやスイッチを操作するタイミングが重なると、ドアが急に動いたり、想定外の力が装置に加わったりする場合があります。

ドアがすぐに開かなくても強く引っ張らず、運転手の案内を待つとスムーズです。

自動ドアとイージークローザーの違い

JPN TAXIの装備には、パワースライドドアとあわせて「イージークローザー」という名称が出てきます。

この2つは、同じ機能ではありません。

装置主な役割
自動ドア・パワースライドドアドアを開く、または閉じる
イージークローザー半ドアの位置から完全に閉める
挟み込み検知機能開閉中の接触などを検知して動作を制御する

国土交通省はドアクローザーシステムについて、半ドア状態のドアをモーターの力で自動的に全閉にする装置と説明しています。

つまり、イージークローザーは、ドアを最初から最後まで開閉する装置ではありません。ドアが完全に閉まりきっていない状態から、最後まで引き込んで閉める補助機能です。

ドアのすき間に手や衣服、荷物が残っていると、クローザーが作動する場合があります。乗降時はドア付近に手や荷物を残さないようにします。

タクシーの自動ドアは日本だけ?

タクシーの自動ドアは日本を代表するサービスとして知られていますが、日本にしか存在しないわけではありません。

タクシー用自動ドアメーカーのトーシンテックは1959年に設立され、1964年の東京オリンピックをきっかけに、全国のタクシー会社でオートドアの採用が広がったとしています。

その後、1973年に香港、1995年にマカオ、2002年にシンガポールへオートドアを輸出し、2009年にはブラジルやアメリカのシカゴにも納入しています。

このため、「タクシーの自動ドアは日本だけ」という説明は正確ではありません。

ただし、日本では多くのタクシーに自動ドアが導入され、乗客が自分で後部ドアを操作しない乗車スタイルが定着しています。

日本政府観光局が海外からの旅行者に向けて、タクシーのドアを自分で開閉しないよう案内していることからも、日本特有のタクシー文化として広く認識されていることが分かります。

タクシーの自動ドアで注意したいこと

タクシーのドアは運転手が操作しますが、乗降中の手や荷物の位置にも注意が必要です。

ドアに手をかけたままにしない

乗車後もドアの縁や開口部に手を置いたままだと、運転手がドアを閉めるタイミングと重なる場合があります。

挟み込み検知機能が付いている車両でも、すべての物や挟まり方を確実に検知できるとは限りません。

乗り降りが終わったら、手や足、衣服、荷物を車内へ入れ、ドアの動きを確認します。

大きな荷物があるときは運転手に伝える

長い傘やバッグ、衣服の一部などが車外に残っていると、ドアに挟まる可能性があります。

大きな荷物を持っている場合や、乗り降りに時間がかかる場合は、運転手に伝えておくと、ドアを開けた状態で待ってもらいやすくなります。

すべての車両が自動ドアとは限らない

タクシー会社が使用する車種や架装内容によっては、一般的な自家用車と同じように乗客がドアを開閉する場合があります。

また、日本版ライドシェアなどで使用される自家用車には、タクシー用の自動ドア装置が付いていないこともあります。

日本版ライドシェアの運行主体や通常のタクシーとの違いについては、「ライドシェアは交通弱者を救う?現状の課題と未来への可能性」で詳しく紹介しています。

ライドシェアは交通弱者を救う?現状の課題と未来への可能性

車が止まってすぐにドアを強く引くのではなく、ドアの動きや運転手の案内を確認すると迷いません。

タクシーの自動ドアに関するよくある質問

タクシーのドアはセンサーで開くのですか?

一般的なタクシーの自動ドアは、人を検知して開く人感センサー式ではありません。

運転手が乗客の位置を確認し、運転席にあるレバーやスイッチを操作して開閉しています。

タクシーのドアが勝手に開くのはなぜですか?

運転手が後部座席から見えにくい場所で操作しているためです。

乗客が車に近づくタイミングに合わせて運転手が操作するため、ドアがひとりでに開いたように見えます。

タクシーの自動ドアレバーはどこにありますか?

レバーやスイッチの位置は車種や装置によって異なります。

レバー式では、運転席の横や座席付近など、運転手が手を伸ばしやすい場所に設置されます。電動式では、インパネや運転席周辺にスイッチが配置されている場合があります。

タクシーは左右両方のドアが自動ですか?

左右両方が自動とは限りません。

JPN TAXIでは、助手席側の後部ドアがパワースライド式で、運転席側の後部ドアはスイング式です。

タクシーのドアを乗客が手動で閉めてもよいですか?

通常は運転手が操作するため、乗客が自分で閉める必要はありません。

自分で動かすと運転手の操作と重なる場合があるため、開いたままのときは運転手へ声をかけるとよいでしょう。

タクシーの自動ドアは走行中でも開くのですか?

人が近づいたことを感知して、走行中に勝手に開く仕組みではありません。ドアを開くには、基本的に運転手によるレバーやスイッチの操作が必要です。

電動式の作動条件や制御方法は、車種、年式、自動ドア装置によって異なります。JPN TAXIでは、運転手がコントロールスイッチを操作している間だけパワースライドドアが動き、手を離すと停止します。

自動ドアが故障したら開かなくなりますか?

電動式やエアー式の装置に不具合が起きると、通常の操作で開閉できなくなる可能性があります。

ただし、電動と手動を切り替えられる製品もあります。対応方法は車種や装置によって異なるため、乗客が無理に動かさず、運転手の案内に従います。

タクシーの自動ドアの仕組みまとめ

  • タクシーの自動ドアは、一般的に運転手が運転席から操作している
  • 人が近づいただけで開く人感センサー式ではない
  • 乗客から見ると自動だが、運転手がレバーやスイッチを動かしている
  • 主な方式にはレバー式、バキューム式・エアー式、電動式がある
  • レバー式は運転手の力を機械的に後部ドアへ伝える
  • バキューム式はエンジンの負圧を利用してドアを動かす
  • 電動式はモーターを使ってドアを開閉する
  • 一般的な乗用車へ自動ドア装置を後付けする場合もある
  • JPN TAXIでは助手席側にパワースライドドアを採用している
  • 自動ドアと、半ドアを完全に閉めるイージークローザーは別の機能
  • 装置によっては電動と手動を切り替えられる
  • 日本では1964年の東京オリンピックをきっかけに全国へ普及した
  • 海外にも輸出されているため、自動ドアがあるのは日本だけではない
  • 乗降時は自分でドアを強く動かさず、運転手の操作を待つのが基本

タクシーのドアがちょうどよいタイミングで開くのは、センサーが乗客を見つけているからではありません。運転手が周囲と乗客の動きを確認し、レバーやスイッチを操作しているためです。

スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA