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卵を割ったとき、黄身の横に白いひものようなものが付いていることがあります。「これは何?」「食べても大丈夫?」「取ったほうがいいの?」と気になったことがある人もいるでしょう。
この白いひもの正体は「カラザ」です。卵黄を卵の中央付近に保つためにある、卵そのものの正常な構造です。
カラザは食べても問題なく、普段の卵料理でわざわざ取り除く必要はありません。ただし、茶碗蒸しなど口当たりのなめらかさを重視する料理では、仕上がりを整える目的で取り除くことがあります。
ここでは、カラザの役割や卵黄を支える仕組み、取る必要があるケース、栄養、大きさがいつもと違う場合の考え方まで順番に見ていきます。
卵の白いひもの正体は「カラザ」
卵黄の横に付いている白いひも状の部分は、英語で「chalaza」と呼ばれるカラザです。異物や寄生虫などではなく、卵が作られる過程でできる正常な構造です。
農林水産省の「疑問解消!たまごのヒミツQ&A」でも、カラザは卵黄を卵の中央に固定する部分として紹介されています。
カラザは卵白に近い成分でできたひも状の部分
カラザは見た目こそ普通の卵白とはかなり違いますが、成分は卵白とよく似ています。キユーピーも、カラザの主成分はたんぱく質であり、そのまま食べられると説明しています。
卵白の中でもカラザは粘りが強く、白くねじれたひものような形をしています。そのため、卵を割ったときには透明に近い卵白の中で目立ちやすく、「何か変なものが入っている」と感じやすい部分です。
しかし、普通に見られる白いカラザであれば、取り除かなければ食べられないものではありません。
カラザと「ヒヨコになる部分」は別物
カラザについてよくある誤解の一つが、「ここがヒヨコになる部分なのでは?」というものです。
ヒヨコの発生に関係するのは、卵黄の表面にある「胚」です。カラザとは役割も位置も異なります。
受精卵では胚の細胞分裂が進むことで発生が始まります。一方のカラザは、卵黄を支え、位置を安定させるための構造です。
白いひもを見て「ヒヨコの一部を食べているのでは」と心配する必要はありません。
カラザは何のためにある?卵黄を中央に保つ役割
カラザの大きな役割は、卵黄を卵の中央付近に保つことです。
卵の中で黄身が完全に固定されているわけではありません。卵を持ち運んだり向きが変わったりしても、卵黄が殻へ直接ぶつかりにくい状態を保てるよう、カラザが支えています。
卵黄を支えて衝撃から守っている
カラザは卵黄につながるように存在し、卵黄が卵の内部で大きく移動するのを抑えています。
JA全農たまごでも、カラザについて「卵黄をたまごの中央につなぎとめ、衝撃から守る役割」があると説明されています。
見た目だけを見ると料理には必要のない部分のように思えますが、卵の内部では重要な働きをしているわけです。
ねじれた構造によって卵黄は回転できる
カラザをよく見ると、まっすぐな糸ではなく、少しねじれた形をしています。この構造も卵黄を支える仕組みに関係しています。
農林水産省では、カラザにねじれた部分があることで卵黄が回転できると説明しています。
卵黄の表面にある胚の部分は周囲よりわずかに比重が軽いため、卵の向きが変わっても上部へ向きやすくなっています。カラザは卵黄をただ動かないよう固めるのではなく、中央付近に保ちながら回転できる状態を作っているのです。
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カラザは取る必要がある?基本はそのまま食べてよい
カラザは安全上の理由で取り除く必要はありません。普段の卵料理であれば、白身や黄身と一緒にそのまま調理して構いません。
カラザを取るかどうかは、「食べられるかどうか」ではなく、主に料理の食感や見た目をどう仕上げたいかで判断できます。
| 使い方 | カラザの扱い |
|---|---|
| 普段の卵料理 | そのままで問題なし |
| 食感が気にならない料理 | 取り除く必要なし |
| なめらかさを重視する料理 | 必要に応じて取り除く |
| 見た目を整えたい料理 | 気になる場合は取り除く |
普段の料理では取り除かなくても問題ない
目玉焼き、卵焼き、スクランブルエッグ、親子丼など、一般的な卵料理ではカラザを付けたまま調理しても大きな問題はありません。
加熱すると卵白と一緒に固まるため、細かく混ぜる料理ではカラザだけを意識することも少なくなります。
「カラザを取らないと体に悪い」という理由で毎回取り除く必要はありません。
なめらかな食感や見た目を重視する料理では取り除いてもよい
一方、カラザは普通の卵白より弾力があるため、料理によっては舌触りに影響することがあります。
たとえば茶碗蒸しやプリンなど、均一でなめらかな仕上がりを重視する料理では、卵液をこす工程でカラザや白身の固まりを取り除くことがあります。
キッコーマンでも、茶碗蒸しなどをなめらかに仕上げる方法として卵をしっかり溶きほぐす方法を紹介しており、別の茶碗蒸しレシピでは卵液をこしてカラザを取り除くことで口当たりを整えています。
そのため、「取るのが正解」「残すのが正解」と考える必要はありません。料理の仕上がりによって使い分けるのが実用的です。
取るなら菜箸やスプーンを使う
カラザが気になる場合は、特別な道具がなくても取り除けます。
- 卵を器へ割り入れ、卵黄の横にあるカラザを確認する
- 先の細い菜箸で白いひも部分をつまむ
- つまみにくい場合は、スプーンのふちで卵黄とのつながりを切ってすくう
卵黄を傷つけないよう、強く引っ張りすぎないのがコツです。詳しい方法はキッコーマンの「カラザを取る、卵を溶きほぐす」でも確認できます。
カラザにはどんな栄養がある?
カラザは捨てなければならない部分ではなく、卵白に近い成分を持つ卵の一部です。
検索すると「カラザには特別な栄養がある」「健康のために必ず食べたほうがよい」といった説明を見ることがありますが、含まれている成分と、人が食べたときの健康効果は分けて考える必要があります。
主成分はたんぱく質で卵白とよく似ている
カラザの主成分はたんぱく質です。日本卵業協会では、カラザにはたんぱく質が含まれ、リゾチームも多く含まれると説明しています。
農林水産省も、カラザの成分は卵白とほぼ同じとしており、通常のカラザであればそのまま食べて問題ないとしています。
栄養を理由に必ず残さなければならないわけではありませんが、「栄養のない不要物だから捨てる」という理解も正確ではありません。
シアル酸は含まれるが健康効果を過大評価しない
カラザにはシアル酸と呼ばれる成分が含まれています。シアル酸は糖鎖を構成する物質の一つで、細胞表面などにも存在する成分です。
カラザにシアル酸が含まれること自体は研究でも確認されています。1990年に日本畜産学会報へ掲載された研究では、カラザをシアル酸の製造原料として利用する方法が検討されています。
さらに2026年には、カラザ由来の糖ペプチドについて細胞やゼブラフィッシュを使った研究も報告されています。しかし、こうした研究はカラザから取り出した成分や加工した試料を使った実験であり、日常的に卵1個分のカラザを食べた場合の効果をそのまま示したものではありません。
そのため、「カラザを食べれば特定の病気を予防できる」といった健康効果まで断定するのは避けるべきです。
カラザにシアル酸が含まれることを確認した研究は、J-STAGEの日本畜産学会報でも確認できます。
カラザが大きい・長いのは異常?
いつもよりカラザが太かったり、長かったり、大きな白い塊のように見えたりすると、「この卵は大丈夫なのだろうか」と心配になるかもしれません。
カラザの形や大きさは、すべての卵でまったく同じではありません。
カラザの大きさには卵ごとの個体差がある
カラザは細いひものように見えることもあれば、まとまって白い塊のように見えることもあります。
鶏卵を扱うイセデリカも、カラザの大きさには個体差があり、まれに非常に大きなものが形成される場合があると説明しています。
そのため、白いカラザが普段より大きい・長いというだけで、異常な卵と判断する必要はありません。
なお、卵の鮮度はカラザの大きさだけで単純に判定できるものではありません。農林水産省も、殻を割らずに鮮度を見分けることは難しいとしています。カラザが大きいから「必ず新鮮」、小さいから「古い」と決めつけないほうがよいでしょう。
赤・茶・黒い点などはカラザとは限らない
カラザは基本的に白いひも状の部分です。卵の中に赤や茶色の点・塊があった場合、それをすべてカラザと考えるのは正しくありません。
農林水産省では、卵の中に血液が入ったものを「血玉」、色素などによる固まりを「肉斑」と説明しています。これらは通常の白いカラザとは別のものです。
血玉や肉斑については、気になる場合は取り除いたうえで十分に加熱する方法が案内されています。一方で、殻の内側に黒いカビのようなものが見られるなど、通常とは明らかに異なる状態の場合は、カラザだと思い込んで食べないことが大切です。
卵の白いひもであるカラザは、卵黄を中央付近に支えるために備わっている正常な構造です。食べても問題なく、日常の料理では基本的に付けたままで構いません。
取り除く意味があるのは、茶碗蒸しなどでよりなめらかな口当たりにしたいときや、料理の見た目を整えたいときです。「安全のために必ず取るもの」ではなく、料理に合わせて残すか取り除くかを決めれば十分です。
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